試行錯誤のヤギ移動方法

OPERA(オスヤギ)が、FAN(犬)と共に、山を超えて、山の裏側にある射撃場まで行ってしまったことが原因で、一度は、警察に保護され、二度目は役場から連絡を受け、さすがに放飼にできなくなってしまったことで、毎日、ヤギ小屋から朝、草を食べさせる放牧場所へ移動させなければならなくなった。

その際、OPERA一頭を繋いでおくと、寂しさのあまり、延々とそれも出せる声を目一杯出して鳴き叫ぶようになった。
当初、FANは放し飼いのままだったので、OPERAは一人繋がれたまま、ほったらかしという状況で、疲れ果てるまで鳴き続けていた。

これは、こっちもたまらない。

しばらくして、役場から「犬も繋いでおいてくれ」という連絡が入り、「まあ、そりゃそう言われるだろうな」と予測はしていたので、すぐに、FANも繋いでおく事に。
そして、FANをOPERAの近くに繋いでおく事で、OPERAの鳴き叫びを軽減することはできたのだが、抜本的な解決にはなってはいなかった。

解決するためには、犬ではなく、ヤギが必要だった。

どこかの国では、ヤギを一頭だけで飼育するのは違法だそうで、それだけ、寂しがり屋というか、集団で身を守るという本能があるのだと思われる。
そこで、CHAR以来、半年ぶりにメスヤギをもらってくる事にした。

ヤギをたくさん飼っている人のところへOPERAと共に行き、ヤギ同士の相性を見て回る。
すると、ちょうど発情していたのか、OPERAよりもお姉さんのメスヤギが反応した。
それが、Fuuである。
元は、フジサンと呼ばれていたので、不二子と命名、呼び方がFuu(ふー)になったというわけである。

Fuuの体格は、OPERAとそう大差ない。
OPERAは、ほとんど、突然走り出すことはないが、力は強い。
Fuuは、力はOPERAほどではないが、急に走り出すというクセがある。

二匹を連れて歩くのは至難の業で、特に、Fuuが突然走り出すので困っていた。
Fuuが突然走り出すと、引っ張られるため、当然、もう一方のOPERAも引っ張る事になる。
すると、OPERAは嫌がるので、僕は、間に挟まれた形になり身動きが取れない。

さらに、Fuuが僕の周りを回り始めたりして、ワイヤーが僕に絡まり転倒するということが毎日のように繰り返された。
さすがに、毎日、こんな調子では、僕も嫌になってしまう。
そこで、何とか、うまくできないかと色々と試行錯誤した結果、現在、それなりにうまく行っている方法が、

二匹を間30cmくらいで繋ぐ

というもの。
今までは、それぞれにつけた1mほどのロープを別々に持っていた。
それでは、二匹が別々の方向へ行くたびに苦労する。
そこで、今度は、1mのロープをお互いに繋ぎ、その間にもう一本のロープを通して、一匹が引っ張ると、もう一匹が引っ張られるような形にして、僕の負担を軽減した。

これは、それなりに効果があったが、ロープの長さが長くなったため、Fuuが勢いを付けやすくなり、結果として、OPERAも僕も、それまで以上に引っ張られる事になった。
そう書くと、Fuuが悪さをするように思えるが、OPERAがFuuを追い立てることもある。
それは、OPERAがやたら「やろうとする」のである。
そのために、Fuuの後ろから乗っかろうとして、Fuuが逃げるという場面が多々あった。

そして今回の解決法、二匹を30cmの距離で繋ぐというもの。
この距離だと、OPERAはFuuの後ろに回って乗ることができないので、その点は回避できる。
Fuuが勢いよく走り出そうとしても、OPERAが重りになっていて、ほとんど走り出すことができない。

僕は、二匹が同時に走り出さない限りほとんど負担はなく、二匹が同時に走り出しても、二匹のペースが合わず、速度はほとんど出ないので、早くても軽い駆け足程度で済む。
実際、この絵柄は、パッと見、動物の自由奪っているように見えるが、移動するためのほんの100m程度のことなので許してもらいたい。
ちなみに、写真は、移動途中に道草を食べている様子を写したもので、この状態で放牧することはない。

道草を食べていても、今までは、二匹が別々の方向へ行こうとすれば、引っ張って阻止するしかなかったが、今では、二匹が隣り合って草を食べているので、僕は待っているだけで済んでいるのだ。
とはいえ、その負担は相手のヤギにかかっているわけなのだが、OPERAとFuuがお互いを思いやれば解決である。(ヤギに思いやりの気持ちがあればだが・・・)

ということで、とりあえず、この件は解決した。

Fuuが来た当初は、移動の大変さだけでなく、毎朝、ヤギ小屋へ行くと、二匹のロープがありえないほど絡んでいた。
その原因は、OPERAがFuuを執拗に追いかけ回すためである。
オスヤギというのは、とにかく、四六時中やりたがるようで、夜中中、延々と追いかけ回しているようなのだ。
仕舞いには、二匹のロープがグルグルに絡みに絡んで、まったく身動きが取れなくなって、僕が朝発見するというわけなのである。

僕も、ここまでOPERAがしつこいとは思っていなかったので、それなりに二匹が仲良く接することができる程度にしていたのだが、結局は、ほとんど接することができない程に、離して繋いでおかなければならなくなった。
これは、放牧中でも同じで、同じロープに繋いでおくと、次に見に行った時には、ぐるんぐるんに絡みまくっていた。

そんなわけで、二匹にして良かったのか、悪かったのか?
日々、悩みながらヤギの飼育をしているのである。

-ANIMAL:動物, MARK'S LIFE:日常