この山に来て、1年と16日目にして、初めて野生に生きる哺乳類と対面した。
罠に捕まっているイノっち(イノシシ)と、素早く逃げていくネコ科の動物の後ろ姿、冬の早朝二匹で山を登って来た部落周辺をうろついている白い犬などは、見かけたことはあるが、対面した哺乳類は、初めてである。
ブレブレで分かりにくいが、中央にいるなんとなく黒い物体がソレ。
光っている二つの目と、その間の白い筋。
この特徴から見ると、ハクビシンだとわかる。
ハクビシンは、漢字で書くと、白鼻芯だそうで、見た目の特徴そのままだ。
夜中十二時を過ぎた頃、ゴソゴソを物音がするので、外に出てみるとテラスの外にハクビシンがいた。
こっちを見ても、逃げることもなく、逆にテラスの入り口から上に上がってこようとする。
「えっ?」僕は、ちょっと戸惑った。
こういう、動物って ”すぐに逃げる” ってのが定番じゃないの!?
まさか、近づいてくるとは思わなかった。
急いで写真を撮ろうとカメラ(iPhone)を構えてシャッターを切った。
ストロボを使ったので、光を嫌ったのか、二回シャッターを切ると、まったく急ぐ様子もなく、のんびりと来た道を戻っていく。
途中で止まって振り返り、しばらく僕の方をじっと見ている。
僕は、今度はビデオを撮った。
その時も、ライトを点けていたからか、しばらくすると、またゆっくりと帰っていたのだ。
もしかして、友達になりに来てくれたのだろうか?
そんなことも思ったが、それよりも、靴箱の上に置いてあったバナナが目当てだったのだろうか?とも思う。
きっと、以前見た、急いで逃げるネコ科の動物が、カレなのかもしれない。
初対面のお相手はハクビシン。
しかし、なぜ、近づいて来て逃げず、去る時も振り返ったり、あんなにゆっくりだったのだろうか?
と、そこが非常に気になるのである。
僕が、なんの危害も加えないと、なぜ、そう思っていたのだろう?
カレは、夜行性で、こっちは、昼行性なので、基本的に遊び友達にはなれそうもない。
でも、また、来るだろうか?
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