わらびというのは、地面を掘り返したりすると、いの一番にニョキニョキと現れてくる。
ただし、僕がやっているように、ユンボでガンガン掘り返していたりすると、さすがにわらびの根っこも、ハチャメチャに切り刻まれるためか、そう簡単には顔を出さない。
最も、よく出てくるのは、イノシシに掘り返された後なのだ。
うちの山には、イノシシがよく出る。
とはいえ、僕がここにきた6年前と比べれば静かなもの。
来たばかりの頃は、家の前をイノシシが歩いて通って行ったほど。
今では、さすがにそれは無いが、掘り返された後を見ることは多々ある。
僕が現在住んでいる場所から、上に上がって行き、開拓中の頂上付近までの間に、昔、畑が作られていたであろうと思われる場所がある。
そこは、他のところに比べて木がなく、細い木や、大きな草が生えている荒地だった。
その荒地の木を切り、草刈りをした。
すると、待ってましたとばかりに、イノシシがその辺りを掘り返し始めた。
あらゆる場所を掘り返しているので、ただ闇雲に掘っているのではなく、元々、畑だった時に、何か猪の餌になるようなものが植えられていて、その匂いに釣られて掘り返しているのでは無いかと推測。
適当に掘ってみると、、、
見つけたのは、キクイモだ。
今までは、草が生い茂っていて、イノシシにも匂いを嗅ぎつけられなかったのだが、草を刈ってスッキリしたことで侵入しやすくなり、クンクンしてたらうまそうな匂いがしたということだろう。
そうして、あらゆる場所が掘り返された、大昔の畑跡。
そこに、春が近づき、わらびが顔を出してきた。
その数、、、大量!
こちらも、待ってましたとばかりに、ニョキニョキと一斉に飛び出してきたのである。
今まで、地下で、根の状態でじっと待っていたことをうかがえる。
その理由が、わらびの味。
そのことは、後ほど。
さて、そんな大量のわらびを採る。
ほんの5分程度で、手にいっぱいの太っといわらびが採れた。
まさに『人も歩けば、わらびに当たる』状態。
たっぷりのわらびを、薪ストーブから出た灰を入れた熱湯の中に漬け込む。
そして一晩。
食べられる状態のわらびが完成。
早速、うどんに入れて食べてみると、、、
な、な、なんじゃこりゃー
今までも、この山に来てから毎年、わらびは食べていたが、今回のものは格が違った。
めちゃめちゃ粘っこい。
食べてる感満載。
これは、、、最高級わらびと言っていいんじゃないだろうか?
ってくらいのわらびがニョキニョキと大量に生えているのである。
今回の場所というのは、何十年もわらびの根が閉じ込められていた場所。
その何十年という年月の間、地下でわらびの根は、着々と養分を溜め込んでいたわけなのだ。
そのため、ここまで旨いわらびになった。
それを思うと、畑でも、毎年毎年、それも、夏も冬も野菜を作ろうとすれば、そこに肥料を投下する必要があるのは必至。
やはり、畑も、養分を蓄える期間が必要だのだろう。
本当の自然栽培っていうのは、畑を自然の状態で休ませて、そこに養分を蓄えてもらうっていうやり方が正しいのだろうな。
きっと。