セスナに乗る

人生初、セスナに乗る

フォトグラファーという職業の人たちは、大都会に9割以上、残りの1割程度が地方にいる。(たぶん)
それほど、写真撮影の仕事というのは、大都会に集中している。
まあ、それはそうなのだが、今回、そんなレアなフォトグラファーに、愛媛で出会うきっかけがあった。
何の撮影をしているのかというと、航空写真。

今の時代、航空写真といえば、ドローンでの撮影が一般的になったのだが、撮影機材はドローンではない。
何と、セスナだと言う。

飛行機に乗って飛び立つ。
そして、今回、同行させてもらった撮影が、大型船舶の撮影だという。

なんかのカレンダーとかで見たことはあったが、それを、職業にしている人に出会うとは、思いもよらなかった。
愛媛県が面する瀬戸内海には、造船所が多くある。
さらに、僕の本名と同じ名前の島である『弓削島』には、弓削商船高等専門学校と言う高校が存在する。
何と、高校で『国立』なのだ。
国立高校なんて初めて知った。
瀬戸内海は、日本屈指の船の要衝なのだ。

いよいよ、セスナに乗る

松山空港に着くと、いつもとは違った場所へ進む。
いつもなら、賑やかなターミナルへ入っていくのだが、今回は、殺風景な空港事務所ビルに入る。
そこから、飛行機の置いてある駐機場へ。

セスナというのは、メーカーの名前なので、正確には『小型飛行機』というのだろうか?
まあ、セスナ社の飛行機でなくても、小型の飛行機はセスナと言った方がわかりやすい。
バックホーをユンボと言ったり、トラッククレーンをユニックと言ったり、シャワートイレをウォシュレットと言うようなものだ。

駐機場と言っても、僕が想像していたのとは違って、青空駐機だった。
イメージは、倉庫のようなところに格納されているのかと思っていたのだが、雨ざらしだ。
まあ、車と同じで、別に大丈夫なんだろうけど。

そして、初めて身近で見たセスナは、靖国神社で見たゼロ戦のようだった。
近づくと、鉄板はペラペラで、人力で軽く動かせるほど軽い。
中は、四人が乗れるようになっているのだが、まるで、スバル360のように狭い。
現代の軽自動車の方が、はるかに広い室内空間だった。

飛行機と自動車では、安全性の担保は、飛行機の方がはるかに重要だと思っていたのだが、明らかに、車の方が頑丈にできている。
考えてみたらわかるのだが、飛行機というのは、落ちない限り、どこかにぶつかるという心配はない。
他の飛行機が、近くを飛行するということは皆無だからだ。

しかし、自動車というのは、他の車やバイク、自転車や人にぶつかる確率が、はるかに高い。
そのため、安全性の担保は、自動車の方が必要だということを認識した。

飛行機は、落ちない限り安全な乗り物なのに対し、車というのは、常に危険と隣り合わせだ。
車は、地上を走っている分、事故に遭遇しても死ぬ確率は高くはないが、事故の確率は高い。
飛行機というのは、落ちる確率はほとんどないが、落ちたら即死である。
ただ、ほとんど落ちないことを考えると、安全な乗り物なのだ。
今までは、旅客機にしか乗ったことがなかったし、旅客機が落ちることはほぼないので、安全だと思っていたが、セスナなどの小型機でも、整備さえしっかりしておけば、落ちる確率はほぼないということがわかる。

今回、僕はパイロットさんの隣に乗せていただいた。
そこで、操縦を一通り見ることができた。
これは、とても貴重な経験だった。

旅客機と違い、離陸がとても軽快だ。
あっという間に離陸する。
空を飛ぶということが、こんなに簡単にできるものなのか?と、驚くほど、呆気なく浮き上がった。

目的地までは快適な空の旅だった。
低めの高度で、海の上を進む。
旅客機とは違った景色だ。

目的の船を見つけ、撮影を開始。
今回、僕は、カメラは持ち込まず見学に徹したのだが、、、

や、や、ヤバイ、、、酔った

船の周りをぐるぐると旋回しながら撮影していくのだが、ほんの3周ほどしたところで、怪しい状態に。
僕の三半規管が狂い出したのである。
そこで、目を瞑った。
目が見えなければ、視覚からの情報が遮断され、グルグルと脳みその中を掻き乱されない。

それでも、体は揺られ、徐々にヤバさが増していく。
身体と脳は、ヤバイと認識したのか、僕を眠りへと誘って行った。
半分寝て、半分起きている状態。
夢の中で、飛行機に乗っている気分だった。

「終わりましたよ」という声とともに起きた。
飛行機は、巡行していた。
胃の辺りが、何だか気持ちが悪いが、吐くほどではなかった。
普通に飛んでいる分には、何ともないのだが、グルグルと旋回を繰り返すのは、結構きついものがあった。

この日、一日中、足元がフラフラしていたが、とてもいい経験をさせてもらった。
こうしたものは慣れだと思うが、なかなか、慣れるまでは大変そうだ。
今回誘ってくれたフォトグラファーのRYOさんも、最初のうちは酔っていたそうだ。
だよね。

人の乗るドローン

現在、人が乗ることのできるドローンが、世界各国で開発されている。
日本でも、大阪万博で、実際に人を乗せて飛ばす計画があるらしい。
、、、まあ、日本では、実現しないようにも思えるが。

方や、中国では、実際に飛んでいるようだ。
中国なら、多少落ちてもNOプロブレム!って感じ。

海も空も、地上に比べたら、ずいぶんスペースが空いている。
ドローンが実用化され、コンピューター制御による自動飛行が確立されれば、人的ミスによる空の事故も防げる。
そうなれば、一般人が空を飛んで移動する時代が来る。

こうしたドローンが一般人でも乗って飛ぶことができるようになれば、山暮らしもかなり快適だ。
なんせ、道がいらないのだから。
きっと、僕が生きているうちに、実現できるだろう。
楽しみだなぁ。

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