愛媛で、初めての高級飲食店へ

愛媛に移住して5年が経とうとしているが、今まで、高級飲食店に一度も行っていない。
東京にいる時には、2、3ヶ月に1回程度、高級フレンチを食べに行っていたのだが、地方で行くなら東京まで行ってしまった方が良いと考えて、愛媛の店に行くことはなかった。

だが、愛媛人になって5年。
そろそろ、愛媛の良いところを探すことも必要だと考えて、高級店に行ってみることにした。
今回は、奥さんがチョイス。

最年少で、ミシュラン二つ星獲得の寿司店『くるますし』へ。

僕は、ミシュランのランキングは、基本信じてはいない。
東京でも、ミシュラン三つ星の店が最高だと思ったことはなく、逆に一つ星や星などつかない店の方が好みだったりした。
まあ、フランス人にとっては、フランス料理らしいフレンチに星を付けたいのは当然で、東京の創作フレンチは、和食に近いので、なかなか、星がつかないのだろう。

逆に、日本料理店には甘い。
食べ慣れていないためか、新しいおいしさに驚くのか、特に寿司店に星が多くついている印象がある。

そんなわけで、ミシュランなど気にも止めていないのだが、今回の店は、ミシュラン二つ星。
夜のみの営業で、一斉スタートの2回転。
僕たちは、18時少し前にお店に入った。

全8席、多いスタッフに、若干圧迫感

席は、カウンターのみ8席。
カウンターの中には、現在の大将である二代目を中心に、サポート役として初代大将が。
そして、二代目と結婚したばかりだという若女将。

カウンターの後ろには、配膳係の若い女性たちが2、3名。
そして、たまにカウンターの中に無言で立つ、修行中らしき若者。

空間は、狭くはないが、人が多すぎて、落ち着かない。
先に言うと、料理は美味しかったし、感動するレベルの握りもあったが、何か疲れてしまった。

有名な『数寄屋橋次郎』へ行った時、一人3万円払う割には、さらりとしていて何か物足りなさを感じたが、それでも、次郎さんが目指す、江戸の屋台寿司のようで「3万円を払ってる」と言う気負いがなければ、気楽な店だったと思い出す。

やはり、寿司は気楽な方がいいのか?

料金が高いから、高級チックな店構えや、高級チックなネタや、高級チックな会話が必要なのか?と考えると、、、いや、いらないか。
と言う結論になるかもしれない。
そう思うと、数寄屋橋次郎が、寿司店として正解なのかも?と思えた。

大体、寿司という食べ物自体が『高級』という容姿とは程遠いような気がする。
ご飯の上に、魚の切り身が乗っているだけの見た目である。
それを、さも高級です!とばかりに演出するには、限界があるように思う。

そう思うと、寿司職人は気楽な感じの方がいいし、構えずサラリと握って、ほいっと軽く出す。
客も、気負わずサラリと食べる。
要は、にぎりめしと同じような感覚で良いのではないか?

それを、高級なネタで、手間暇かけて仕込むことで、高級な価格になってしまうのだが、そうなっても、数寄屋橋次郎は、気楽な寿司店というスタイルを貫いているのだろう。
長い年月をかけて、究極の寿司を追い、究極の寿司店を作り上げてきた結果が、気楽な寿司屋だけど、最高級の寿司を出すというスタイルだったのだ。

片や、フレンチは、やっぱり高級な雰囲気がいい。

人は、無い物ねだりをするものなのか、同じスタイルが飽きてしまうのか?
僕が、東京時代によく行っていたフレンチレストランに、『フロリレージュ』という店がある。

よく行っていた時は、駅から遥かに遠い場所で、ひっそりとたたずむ小さなお店で、店内は窓一つなく、暗く、ムーディーな雰囲気を漂わせていたお店だった。
料理は、何度行っても、毎回、驚愕の美味さで、驚きと感動を与えてくれた。

しかし、移転して、オープンキッチンになり、キッチンのガヤガヤ感が店内に響き、料理自体もカジュアルっぽくなり、驚愕と感動は薄れた。
ゆったりと楽しめる空間ではなくなったことで、よく行く店を『レフェルベソンス』に変えた。

レフェルベソンスは、THE高級フレンチという感じだが、ギラギラした感じはなく、落ち着いた店作りのため、ゆったりと食事を楽しめる。
コロナ前までは、ランチコースを1万円で楽しめたので、とてもお得感のあるレストランだったのだ。

寿司というのは、パクッと一口で食べてしまうものだし、手で食べるというのがスタンダード。
そう思えば、軽くパクパクと食べる印象。
片やフレンチは、フォークとナイフを使って、ゆったりと食べる印象。
どちらかと言えば、会話を楽しむことがメインのように思える。

やりたいことと、求められること

店を運営していると、お客との感覚に差が生じてくる。
僕自身も、フォトスタジオを運営していて、お客さんが良いと思うことが、徐々に感じにくくなってきた経験がある。
お客さんが求めていることを与える店でありたいと願いながらも、そこからズレてしまっているような感覚になり、どうしたら良いのかわからなくなってしまうのだ。

自分のやりたいことはあるし、それは貫きたい。
その上で、お客さんが良いと感じるものを提供したい。

そう思い続けているのだが、徐々に、お客さんの感覚と自分の感覚がズレ、さらに、自分がやりたいこともズレてきてしまったりする。
そして、自分のやりたいことからズレてくるのは、お客さんの求めているものに近づかせているためだと勘違いしてきてしまうのだ。
そうなると、修正するのが難しい。

で、結局まとめると

分相応な寿司屋がよく、贅沢したければ、高級な雰囲気が味わえるフレンチレストランが良いってことかな?
高級フレンチは、記念日に来る庶民の扱いに慣れているので、やっぱり、庶民がお金を出すにはフレンチが良い。
寿司や料亭は、お偉いさんにお任せしよう。

-LUNCH:ランチ, MARK'S LIFE:日常