雨だから、うどんツアー

雨が降ると、小さな小屋の中でダラダラとNetFrixを見て過ごすというのが定番になってしまったが、この日は、日曜日。
いつもの山友たちが、一日FREEなので、うどんツアーに行こうということになった。

うどんと言えば香川である。
早朝から、香川へ向かう。

朝早くから出て香川へ向かっているのだが、ランチにはずいぶんと時間がある。
「今、もう、うどん屋さんへ向かっているの?」と質問すると、「香川のうどん屋さんは、9時オープンだから早くいかないと」という。
マジか!?
朝9時から、うどんを食べる習慣があるとは、さすがうどん県である。

どうやら、日曜ともなると、うどん屋さんの前は、大行列らしく、とても昼に行ったのでは入れないらしいのだ。
一軒目に到着したうどん屋さんは『手打ちうどん やまうち』
10時前の到着で、駐車場は空いていて、行列はない。

「車で、店の前に来れたのなんて初めて」とのこと。
お客さんは、チラホラ程度で、すんなりと席につくことができた。
どうやら、コロナの影響で、他県からの来客が少ないことが原因のようだ。

店員のおばちゃんが「ネギは入れてよろしい?」と聞くので、もちろん「はい、お願いします」と答えたが、うどんを食べてみて思ったのが、「ネギ、いらないかもしれない」だった。
なぜなら、つゆの出汁が旨い。
薄味で、出汁がよく効いている。
この出汁に、ネギを入れると、ネギの辛味が少し強い。

うどんは手打ちで、太さが不揃いなところが、食べていくのに飽きさせない。
麺自体も旨く、一般的な味のない麺ではなく、麺にも旨さがあるため、薄口の出汁が合う。

失敗は、天ぷらだった。
揚げたてではなく、こんもりと盛られていたのを、調子こいて取ってしまったのだが、冷たいし、油は悪いし、まったく美味しくなかった。
というか、旨いうどんを、不味い天ぷらがぶち壊していた。
これは、教訓だ。

うどんツアーで、天ぷらを食べてはいけない!

ということで、天ぷらで胃がもたれていたが、二軒目にGO。
二軒目は、『釜あげうどん長田』である。

ここの別店舗には、以前行ったことがある。
到着したのは、10:30過ぎ。
こちらも並んではいないが、店内には多くのお客さんが居て、ほぼ満席と言っていい。
今回は、看板にも大きく書かれている、釜あげうどん(たらいうどん)を注文して、みんなで食べることにした。

出てきたたらいがプラスティックなのは、非常に残念なところだが、うどんは旨い。
こちらのつゆは、時代劇などに出てくる酒を入れる陶器の入れ物、酒瓶というのか、徳利と言っていいのかわからないが、そんなのに入ってくる。
それを、好き放題使って良い。

つゆは、濃いめ。
一軒目のやまうちのほうが出汁の香りがいいが、こちらは、こちらで、つけタレとして旨い。
すぐに薄まってしまうため、ごくごく飲んで、また、新しくつゆを入れる。

二軒目を食べ終えて、三軒目に向かう。
まだまだ昼前である。
三軒目は、一日一時間しか営業しないという『日の出製麺所』
ここは、通販でもうどんを取り寄せたことのあるお店だ。
超がつく有名店ということだろう。

時間は、11:30を過ぎたところ。
さすがに、少し並んではいたが、ほとんど待たないレベルだった。

店内は、、、狭い!
きゅうきゅうの店内に、小さなテーブルとイス、その狭いテーブルの上には、セルフで使うつゆや出汁がドカッと置かれている。
さらに、セールスのための、油揚げや天ぷらが、値段が書かれてパックに入っている。
そこに、ネギや生姜、調味料の類があるのだが、これが、長テーブルに一つなので、隣の人のテーブルに手を伸ばして取らなければならない。

まったく落ち着かない!

これでは、うどんを味わうどころではない。
どんなに旨いうどんを出していると言っても、この店内ではダメだ。

僕としては、早くここを出たくてたまらなかった。
うどんを味わうどころではなく、とりあえず、目の前にきたうどんを喉の奥に流し込んだだけ。
さっさと、この場所を離れたかった。

ただ、値段は、とんでもなく激安!
かけうどん小が、なんと120円。

この値段では、店内にぎゅうぎゅうに客を詰め込み、天ぷらやお揚げを懸命に売らなければ商売にならないのはよくわかる。
だが、それなら、うどんの値段上げろよ!と、言いたい。

ちなみに、一軒目のやまうちは、かけうどん小200円、二軒目の長田は300円だった。
有名な路面店なのだから、安くても250円ほどでいいように思える。
その代わり、あのゴチャゴチャ感はなんとかしてもらいたいものだ。

今回のうどんツアーは、三軒で終了。
さすがに、小麦ばかりを食べ続けるのはキツい。

ってことで、まだ昼だが、コーヒーブレイク。
向かったのは、レトロな建物が可愛い『カフェ ランプ食堂』

店内は、20席も無い程度で、小さくこじんまりとしているが、ごちゃごちゃ感はなく、お洒落にまとまっている。
まだ昼なので、他のお客さんたちは、食事をしているが、その中で、コーヒーとケーキを頬張る。

山で、カフェをやるときの、参考になる雰囲気だ。
きれいに整いすぎず、テーブルや建物の作りが大雑把なところがいい感じである。

さて、まだ昼なのに、すでにハラはパンパンで、コーヒーブレイクも終えた僕たちは、夜のシメを迎えるまでの間、観光することにした。
場所は、岡山県倉敷市、古い建物が並ぶ『美観地区』といわれる所へ向かう。

岡山は、約5年前に、山を探しているときにも行っていて、この美観地区も散策した。
なので、今回は2回目である。

四国と本州を繋ぐ橋は、全部で三つ。
その中で、最初に出来、その当時、とても話題だった『瀬戸大橋』のことを思い出した。
香川から、倉敷へ繋がるのが瀬戸大橋である。

本州と四国が繋がったのが、ほんの30数年前というのが不思議なほど。
それまで、船で行き来していて、倉敷へ渡るのに何時間もかかっていたというのだ。
それが、橋ができてからは、たったの13分で本州へ行けるようになっている。

日本は、ちょうどバブル真っ只中。
当時は、予算に余裕があったのだろう、とてつもなく立派な橋である。

山友のVWゴルフを運転する
瀬戸大橋、めちゃめちゃ立派!

これは、お台場へつなぐレインボーブリッジや横浜のベイブリッジよりも立派な作りなのではないだろうか?
そう思えるほど、立派で強固に見える。

橋を渡って、ほとんどすぐに倉敷の美観地区到着。

日本各所に、こうした古い街並みが残されているが、こうして、一帯を特別区として囲って保存してかないと、なかなか、しっかりと維持できないのも現実だろう。
現在のコロナ化で、観光業は、約二年間ダメージを受けている。
観光業として成り立たなければ、こうした場所にお店を出す人は増えず、維持するための資金はもちろん、人が使うことによって守られるものも、使う人がいなくなってしまうと、それだけで朽ちてしまう。

そういえば、コロナになる以前は、中国からの観光客にドップリ頼り切っていたのを思い出した。
インバウンド需要とか言って、ホテルなどの宿泊施設が、バンバン建っていたなぁ。
それが、コロナで一変してしまった。

やっぱり、30年前の不動産によるバブルだけでなく、どんなものでも、バブル的に急拡大したものは、いつか弾けてしまうものなのかもしれない。
そこには、人間たちの【おごり】が存在し、そのおごりが、戒めのようにバブルの崩壊を招くのではないだろうか?
などとも思えてくる。

それはさておき、この美観地区で、どうやら有名な珈琲店があるようで、そこに寄ってみた。
店名は『Cafe gewa』というが、有名なのは店名ではなくオーナー?
『ooyacoffee』というのが有名らしい。要するに、オオヤさんのコーヒーが有名だということだ。

コーヒー一杯620円と、かなり高いが、ドリップの様子を見ていると、なんだか、やっぱり、有名なだけあって、かなりの繊細さとこだわりが感じられた。
そして、出されたコーヒーを飲んでみる、、、、

うまい!

これは、本当に旨いコーヒーだった。
ドリップの様子は、最初から最後まで凝視していたので、帰ったら真似してみようと思った。

ドリップに使用するのは、布のフィルターで、ネルドリップという。
一緒に行った山友たちは、ネルドリップの布フィルターを買っていた。
その際、コーヒーを入れてくれた若いスタッフさんと話をすると、なんと、有名なオオヤさんの息子さんだということ。
父親直伝ともなれば、ドリップテクニックは、一流だろう。
いい体験ができた。
ついでに、簡単に、ドリップのコツを教えてもらい店を出た。

倉敷の美観地区を後にして四国へ戻る。
最後の目的地は『骨付鳥 一鶴』

どうやら、四国人たちのお決まりうどんツアーコースのシメは、この一鶴で鶏にむしゃぶりつくのが定番らしい。
愛媛に来た時に、よく「僕は、おやどりのほうが好きなんだ」という話をいろんな人たちから聞いた。
しかし、生後58日で出荷されるブロイラーは、親にされる前に肉にされてしまうわけで、わざわざ、肉が硬くなるまで、餌を与え続けて飼うメリットは微塵もないため、一般的には、流通していることはないはずなのだが、多くの人たちが「おやどり」云々と行っていたのを不思議に思っていたのだが、この一鶴で、とうとう、四国人のおやどり好きの元がハッキリした。

「おやどりが好き」というのではなく、正確には「一鶴で食べる肉は、ひなどりよりも、おやどりが好き」ということなのである。

僕は、卵屋さんから、生後3年の、まさに親鳥をもらってきて、捌いて食べてみたが、とても、食べれるような硬さではなかった。
硬すぎて、まったく文字通り「歯が立たない」という表現が当たっているほどだ。

しかし、一鶴で出される親鳥は、商品として当然のことながら成立しているように、硬いけど食べられるレベルである。
これが、僕が捌いて食べた3歳の鶏のようだったら、とてもじゃないが商品にならないだろう。

うどんツアーから帰ってきたのが、夜9時過ぎ。
およそ14時間のツアーだった。
なんだか、とても満喫した。
地元民ならではの、朝9時オープンに間に合わせるように早朝から出かけるうどんツアー。
そして、四国ではないが、有名店のコーヒーを堪能し、最後の締めは、四国民お決まりの一鶴の鶏でシメる。

とうとう俺も、四国民になれたような気がした。
そんな想いに浸りながら、うどんツアーを終えた。

-LUNCH:ランチ, MARK'S LIFE:日常