カーシェアサービスのAnycaで、ポルシェカイエンを借りてみた。
東京にいれば、登録台数はかなりあり、どんな車でも借りられるし、乗ることができる。
しかし、愛媛にいると、サービスに登録されていて現実的に借りることができそうな距離にある車の台数は10台程度である。
それでも、その中に、ポルシェカイエンがあったのだ。
そこで、カイエン を借りてみることにした。
2011年のベースグレードである。
カイエンの車幅は、1940mmある。
僕のカレヤン(Porsche911 Type996)は、1765mmなので、175mmも幅広だ。
カイエン を返却してから、自分の車に乗ったら、ものすごーく小さいコンパクトカーに感じたのである。
さて、カイエン を借りて乗ってみた感想を書いてみる。
まずは、やっぱりデカイ。
最近のSUVは、この大きさなのだが、縦横だけではなく、高さもあるので、余計にデカく見える。
そして、乗り込んでみると、シートもデカイ。
先日、六本木のメルデセス ミーで、S500ロングに乗ったが、そのシートよりもデカかった。
もしかして、乗ったS500は、日本仕様のシートになっているのか?体に沿うようにしっかりはまったが、今回乗ったカイエンのシートは、西洋人用って感じがするほど、横がデカく、あまりフィット感はなかったのだ。
走り出すと、よくいろんな人が言っているが、取り回しはしやすい。
デカさをさほど感じずに乗ることができる。
それは、ポルシェに共通している、ボンネットの両脇が盛り上がっていることに関係しているかもしれない。
自分の車もそうだが、ボンネットの両脇ががこんもりしていることで、車幅が取りやすい感じがするのだ。
さらに、SUVやワンボックス、トラックなどもそうだが、着座位置が高いことが、取り回しを楽にしている大きな要因である。
高い位置に座っていると、とってもよく見える。
僕の911(ここでは911と言う、カレヤンとカイエンが紛らわしいためである)は、ノーマルから、フロントを2cm、リアを1cm下げているため、余計に低い。
さらには、シートポジションは、最も低い位置にしているので、もっと低いのである。
アクセル、ブレーキ、ハンドル、どれも、僕の911と比べると軽い。
現代の欧州車は、昔と比べてかなり軽くなっていて、日本車に近づいている。
僕としては、程々の抵抗感があったほうが、車を運転している実感を持てるし、何よりも『重さ』というストレスがあることで、運転に集中することが必要になる。
それによって、意識の低い状態での運転はしなくなり、多少の集中力や「運転するぞ」という意識を持って運転に望むようになる。
そうすることで、事故の確率を下げることができようになると思っている。
高齢者は、マニュアル車に乗れ
毎週見ている、おぎやはぎの愛車遍歴に出ていた74歳の女優さん。
そのかたは、70代にもかかわらず、コルベットのマニュアル車に乗っている。
アクセルもブレーキもハンドルも重い上に、クラッチも重いし、手も動かさなければならない。
そのかた曰く「マニュアルに乗っていれば、アクセルとブレーキを踏み間違えることはない!」
そうだろう。
ちなみに、僕は、少し前、Jくん(軽バン、オートマ車)に乗っていて、アクセルとブレーキを踏み間違えた。
人生初だった。
今までは、どうして踏み間違えるのか疑問に思っていたのだが、その時は、なんの意識もなしに、ブレーキを踏んだつもりがアクセルを踏んでいた。
なぜか、足の置いている位置が頭の中には「ブレーキの上にある」と勘違いしているのだ。
大きな原因の一つは「疲れ」だということはわかった。
もう一つ、靴が重かったというのも、僕の場合はある。
林業作業用の、めちゃめちゃ重い靴を履いていて、それで、山を登ったり降りたりした後に乗っていたためだ。
そのため、余計に足が重く、足の爪先をまっすぐ立てているつもりになっていたものが、疲れと重さで、爪先が右に傾いていて、さらに感覚が薄くなっていたのだろう。
高齢者に至っては、足の筋力の低下は大きな要因の一つではないかと思う。
筋力が弱く、感覚も鈍いため、僕が陥った『足の位置』と『角度』の感覚が薄いのが原因となっているように思う。
そして、アクセルとブレーキが軽いことも原因にある。
車を日常の足として利用していて、筋力が弱り、それでも、軽いアクセルやブレーキを難なく踏めてしまう。
それによって、少し足を乗せただけで、アクセルが下に下がってしまう。
これが、少し力を入れて踏み込む必要があるようなら、たとえ踏み間違えたとしても、急発進して突っ込んでいくことはない。
昔の車なら逆に安全
昔の車は、アクセルもブレーキも重めだし、なんと言っても、急発進、急ブレーキをしない。
というのも、何十年も前から日本車は、ブレーキもアクセルも軽いわりに、アクセルを少し踏むとブィーンとエンジンが回り、ブレーキに足を乗せただけで、ギュギュっとブレーキがかかった。
僕は、それがイヤで仕方がなかった。
そのころの欧州車は理想的で、アクセルもブレーキもやや重く、ペダルの上に足を乗せただけでは、アクセルは沈まないし、ブレーキも効かない。
意識的に『踏み込む』という動作が必要なのだ。
僕が先日Jくんで、踏み間違えた時、踏み込むことはほとんどなく、重い靴で足の乗せただけという感じで踏み間違えてしまっていたのだ。
さらに、昔の欧州車は、少しアクセルを踏んでも、急にエンジンが回ることはなく、静かに回り始める。
そこから軽く踏み込んでいっても、日本車のようにブィーンと回ることはない。
その代わり、意識して、深く踏み込めば、どんな車よりも早いほどに加速していく。
ブレーキもしかり、軽く踏んでもちょっとしか効かない。
こちらも意識的に、足の筋力を使って踏み込んでいくことで、ブレーキがよく効くようになる。
日常では、ほとんど急な効きはいらないわけで、ゆっくりと効き、しっかりと止まることができることが必要だが、日本車というのは、踏み込み量と効きが比例してしまっているので、操作しづらいのだ。
カイエンも、軽かった
メルセデスベンツ S550に比べても、カイエンは軽かった。
ベンツの場合は、アクセルは少し力を入れて踏み込むことで、重い車体をゆっくりと前に進めていたが、カイエンのアクセルは、それよりもずっと軽く、力を調整して踏む必要があった。
アクセルが軽くなると、『踏み込まない』ように意識しなければならず、逆に疲れてしまう部分もある。
加速は、かなりいいし、カーブでロールもない
カイエンを借りる上で、一つ知りたかったことが、加速性能とカーブでのロールである。
当然ながら、911の加速はピカイチだし、カーブでロールもしない。
カイエンはどうか?
まず、加速性能は、僕の911(Type996前期カレラ 車重1500kg、300馬力)には、やや劣った。
やはり、20年前の車であっても、さすが911である。
ただ、今回のベースグレードは、車重2トン、300馬力なので、パワーウエイトレシオは僕の911に劣るため当然だ。
これが、ベースグレードのカイエンではなく、GTSやターボであれば、僕の911と同等レベルかそれ以上の加速性能を感じられるのかもしれない。
次に、カーブでのロールは、まあ、ほぼないと言っていい。
911のようなスピードでカーブに入っていくわけではなく、一般道を、常識的なスピードで曲がった時に、どの程度ロールするかということを知りたかったわけなのだが、普通に走っている程度であれば、まったくロールしている感覚を受けなかった。
カイエンの総評
カイエンから自分の車に乗り換えた時、まず感じたことは前述したように、カイエンの大きさである。
自分の911がコンパクトカーに感じるほど小さく感じた。(まあ、現に、今のコンパクトカーは僕の911よりも大きいけど、、、)
そして、重厚感。
911の屋根を開けて乗ったので、余計に感じたのだが、カイエンの囲われ感が非常に大きかったことに気がついた。
ガッチリとした大きく重厚な車体に守られていたのだと感じた。
走りに関しては、まったく文句はない。
もっさり感もなければ、パワー不足も感じなかった。
十分以上のパワーを持っている。
この時の燃費は、7.5km/L程度。
僕の911と変わらない程度なので、文句なし。
それでいて、車重2トン、排気量4800ccなのだから、十分満足できる燃費だろう。
アクセル、ブレーキ、ハンドルは、もう少し重たくてもいいと思ったが、慣れてしまえば気になることはない。
ただ、アクセルとブレーキの踏み間違えのリスクは、911よりもよっぽど高いのは確かだとは思う。
そして、最も懸念すべき事柄は、やはり車幅だろう。
通常の走行時には、気になることはほとんどないが、山道や狭い道になると、この車幅はネックである。
実際、人間の体の大きさからして、シート幅も大きいし、これほどまでに幅がある必要はない。
幅があることで、気にして運転をしなければならないことが増えてしまうということが懸念される。
そう思うと、この手の車を日本で、地方で、山で乗るのは、どうか?と思う。
やはり、日本の道路事情、体格に合わせた、国産車が適しているのは、明白かもしれない。
ただ、オンロードも早くて、オフロード性能も高く、カッコいい乗りたくなるような車がなかなかないのが残念なところなのである。