さようならカレヤン(Porsche911 Carrera Cabriolet)

2011年3月11日、東日本大震災が起きた。
今回のコロナでもそうだが、こうした災害などが起こると、事業はストップしてしまい、大きな損失を抱える。
11年前も、そうだった。

事業が止まるだけではなく、多くの建築物が破壊され、多くの命が消えた。
この時からしばらく、結婚する人たちが急増、婚活も活発になった。
多くの人たちが、死を身近に感じ、そして、生を大切に感じたのだ。
僕も、半年後、うちの奥さんと出会った。

震災前まで、僕はスタッフに対して、極力経費を切り詰めて節約するように言っていた。
もちろん、自分でも無駄使いせずに、お金を切り詰めていた。
しかし、震災で節約した程度のお金など一瞬で吹き飛び、何年分にもわたる利益が消えていった。

それから、節約などをやめた。
もちろん、無駄使いするわけではないが、使いたいものにはドドーンと使おうという気になった。
だって、こんなことが起これば、一瞬でお札は羽をつけて飛び去ってしまうし、命だって、いつ絶たれるかわかったもんじゃないのだ。
明日が必ず来るなどと、それまで思っていたが、明日などいつ来なくなる日が来るかわからない。

そして僕は、カレヤン(Porsche911 Carrera Cabriolet)と、千代田区九段南に新築マンションを買い、結婚もした。
今振り返ってみると、カレヤンを買ったことは、人生において素晴らしい出来事だったし、10年間、最高の体験を与えてくれた。
マンションも、この時に買って、4年後に売却したが、結果、売却益が出た。
それまで、独身を通す予定であったが、今となれば、結婚してよかった。

この時に決断した三つの大きな出来事は、振り返れば、すべて、やってよかったことになった。

そして、コロナが来た。

2011年の時と同じように、事業は大打撃を受けた。
最も大きな取引先である結婚式場が閉鎖し、それに伴い、事業を譲った。
そして、僕は、ほぼニートになった。

車の売却も決めた。
ただ、高く売れるわけではなく、価格は安いが手放す決心をした。
5年前に山に移住してきて、ペタペタに車高の低いスポーツカーが合っていないのは重々承知していたが、今まで手放すという選択肢はなかったのだが、とうとう決断したのだ。

これで、うちにある車は、もともと山にあったナンバー無し30年落ちの軽トラと、山に来た時に買った、20年落ち20万円の激安の軽バン。
そして、半年ほど前に新車で買った、軽トラダンプの、軽3台となった。

ポルシェは、昔からの憧れなどではなく、とりあえず買える価格のものということで買った。
本来であれば、フェラーリとかが欲しかったが、買えないので中古のポルシェだったというわけだ。
ただ、買ってから、ポルシェの凄さを知った。

車の運動性能という点では、本当にピカイチ。
加速したい時に、したい分だけ加速してくれて、曲がりたいだけ曲がってくれて、止まりたいだけ止まってくれる。
まったく不満を感じたことがない。

さらに、スポーツカーのくせに、結構荷物が乗る。
2シーターが多いスポーツカーの中で、小さいながらも後席がある4シーターで、前のトランクには、機内持ち込み用のスーツケースがすっぽり入るほどの大きさ。
もちろん、後部座席にも、結構な量の荷物が置けるため、二人で旅行には余裕だった。

そして、オープンにして風を感じることが、とても好きだった。
世の中には、オープンカーはたくさんあるけど、たぶん、最も風の巻き込みが少ない車種の一つであろうと思う。

実際、全く飽きることはなかったし、今でも、本当に素晴らしくかっこいい車だと思っている。
別れの記念に、動画を撮影してUPした。


-DRIVE:ドライブ, VEHICLE:車, ポルシェ(カレヤン)
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