昨日、山を下ると、いつもの場所に、いつもの車が・・・
きっと、BOSSがイノッチが掛かっているか見回りに来ているのだろう。そう思って、見回してみたが姿は見えない。
折り返して、山を登って行くときにも、周りを見ても姿が見えない。
なので、家に戻ったのだが、携帯を見ると、三回も着信が!
三回も電話するって事は・・・「獲れてるな」
って事で、もう一度、山を下って行くと、ちょうど、出発したところだった。
そのまま、BOSS宅へ行ってみると、小ぶりなイノッチが獲れていた。
生後一年程、人間にすると、10歳程度だろうか?
ひとまず、こやつを檻の中に入れる。
持ってみた感触は、体重20kg弱。
オスで、とっても元気がいい。
足を掴んだときに震えていたので、片方の手で、そっと手のひらを当ててあげると、震えが止まったような気がした。
イノッチたちは、僕ら人間が思う以上に賢いように感じる。
罠にも、そうそうかからないし、こちらの感情を感じることができるような気もするし、会話だって、なんだかそれなりに理解できちゃっているような感じがするのだ。
なので、優しく接した方が、お肉が美味しくなるんじゃないか?とも思ったりした。
翌日の今日、夕方から、イノッチを動物から、食品へと変える作業を行った。
僕が行ったときには、BOSSがすでに、イノッチを天に召していた。
僕は、イノッチの腹を割き、内臓を取り出す係をやってみた。
腹を切っていくとき、何か、自分の腹が切れていくような感覚を覚えた。
哺乳類は、みんな、ほぼ同じ構造をしているわけなので、自分の体の中とリンクさせながらナイフを入れていくのだ。
上から下までまっすぐに切った後は、舌を掴んで引っ張りながら、下に降ろしていくと、なんと!大腸まで、綺麗にスッキリ取ることができる。
「あ〜、俺も、こんなになっているのかぁ」と思いながら解体していった。
そして、ついに、お肉になった。
この後、少し炭火で焼いて食べてみたのだが・・・
「やっぱ、若いもんはえーなー。お肉がピチピチで柔らかいでー」
という言葉、そのものだった。
以前獲れた90kgの大物と比べたら、全く肉の柔らかさが違う。
とっても柔らかい。
フレンチを食べにいったりすると「子羊のロースト」ってのがメニューにあったりするけど、以前は、「子羊って!?そんな、子供を食べなくても・・・」と、若干の罪悪感を覚えながら、うまいうまいとムシャムシャ食べていたが、今回、子供の肉は、やっぱり旨い!を実感した。
それでも、やっぱり「子供」ってのは、考えてしまうと気がひける部分がある。
じゃあ、大人ならいいのか?と言われると困る。
でも、それを言っていけば、魚は?植物は?と、際限がないのだ。
だから、「感謝して、命をいただく」ということを、結論にしたいと思う。
若いイノッチのピチピチ肉。頂きました!
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