イノシシわな猟

今年からイノシシのわな猟を始めた。
昨年も、部落のイノシシ捕獲チームメンバーに、罠を借りて一つ仕掛け、小さなイノシシを一頭捕獲したが、今年は、狩猟免許を取得し、狩猟者登録をし、罠を20セット購入して本格的にスタートさせた。

僕が行うのは、狩猟期間のみ。
狩猟期間というのは、晩秋から春先までである。
それ以外は、害獣駆除期間。

猟は1年中やっているイメージがあるが、多くの猟師さんは、獣害駆除も行っているので、春の1ヶ月以外11ヶ月ずっと捕獲を行なっている。
獣害駆除のメンバーになると、狩猟税が無料だし、そのほかにも多くの特典があるようなのだが、僕自身、そこまでやる気でやれるかわからないので、とりあえず、狩猟期間のみでやることにした。

年が明けてから、罠を仕掛けた。
狩猟期間は、11月から始まっているが、それよりも1ヶ月半遅く始める。
イノシシは、冬になり脂が乗ってきて美味くなるということなので、なるべく寒い時期にやろうと思ったためだ。

1月6日から数日かけて合計20個の罠を仕掛けた。
毎日か2日に一度は罠の見回りが必要なので、その点は若干面倒である。
それもあって、期間は短く、集中してやりたいという思いもあるのだ。

罠をかけてから10日後の16日、最初の一頭が掛かった。
30mほど離れたところから見るとデカく見える。
が、そうでもなくも見える。
要するに、よくわからん。

人間は縦に長いので、体重60kgと言っても、見た目には僕くらい。
それを、まん丸なイノシシに当てはめると、どの程度の大きさになるのか?
全く見当もつかなかったが、結局、この一頭目は60kgほどあったと思われる。
まあまあ巨体だった。

一頭目がかかったこの日、正直言って、まだ捕獲の準備が整っていなかった。
電気ショッカーを作っておらず、急遽、午前中に製作。
これが30kg程度の個体であれば、電気ショッカーに頼らなくても良かったのだが、近づいてみると、みるみるデカく見えてくる巨体に恐れを成して、電気ショッカーを急ごしらえしたというわけなのである。

緊張で、心拍数は上がり、足と手は若干震えたが、一つ一つの作業をゆっくりと丁寧にこなしていった。
いつ罠のワイヤーが切れたり、取れたりして、イノシシが突進してくるかわからない。
猪突猛進と言われるように、一気に突っ込んでくる恐れがある。
60kgの巨体に突っ込まれたら、無傷ではいられないだろう。

この時、通常は、イノシシよりも上に上がり処理するのがセオリーなのだが、この時のイノシシは、木と竹の間に挟まって、下向きになっている。
『鼻くくり』と言う鼻にワイヤーをかける作業があるのだが、そのためには、イノシシの下に行かなければならない、それも真下。
ワイヤーが切られたら、そのまま一瞬で弾き飛ばされる場所である。

「めっちゃ怖い」

と、思いながらもそろそろと近づいて、なんとか鼻をくくった。
その後、ワナがかかっている足を確認すると、足の骨が折れ、皮で繋がっているだけだった。

「あぶねー」

先に、確認する必要があったが「まずは、鼻をくくっておかねば」と思い、正面に対峙してしまった。

その後、もう一本の足にもワイヤーをかけて一安心。
そして、ドキドキの電気ショッカーを差し込んだ。
ものの数秒で痙攣し意識を失っていた。

そして、即座に包丁で動脈を切断。
血抜きをして、現場での作業に一息ついた。

次に問題だったのは、

「まったく、運べねーよ」

ってこと。
気合を入れて担げばかつげる。
しかし、マダニだらけのイノシシになるべく触れないで運びたい。
そうなると、触れるのは手くらいで収めておきたいのだが、手の力だけでは到底持てない。

そこで、うちのジャガくん(林内作業車)のウインチを使って引っ張ることにした。
ただ、そこの場所が、竹や倒木が落ちていたり、沢が流れていたりして、引きずることさえままならない。
のだが、そんなことを言っていても仕方がないので、多少強引にウインチを回して引き上げた。

その後、吊るすのだが、これは、うちのクボちゃん(2トンユンボ)をクレーンにして吊り上げた。
次に、洗って内臓を摘出する。
そして皮剥き。

皮剥きを始めるも、早々に嫌気がさした。

6年前に、部落のイノシシ捕獲チームに入れてもらって、捕獲や解体をやらせてもらったことがあるが、この皮剥きが最も嫌な作業だった。
とてつもなく地味で面倒。
さらに、まったくうまくできないのである。

6年後の今回も同様だった。
まったくうまくできない。
そして地味で、面倒。

ってことで、すぐやめた。

皮を地道に剥くという方法だけではなく、皮を焼くと言う手法がある。
そっちに切り替えることにした。
とはいえ、うちにあったのは、カセットコンロで使う、手持ちのバーナーのみ。
一応、業務用というもので、一般のものよりも火力が1.5倍である。

が、弱すぎてキリがない。

とはいえ、これしかないので、ひたすら焼いて、剥いてを繰り返すこと1時間半。
長かった。
でも、ナイフで皮を剥くよりもマシだった。

二頭目に備えて、速攻で『プロパンガスバーナ』を注文した。

本来であれば、焼いてから内臓の摘出らしいが、今回は、皮剥きに嫌気がさしたことで焼きに転じたので仕方がない。
その後、各部位ごとに解体。

解体してみると、この巨体の重量が明らかになってきた。
それまで、全体を持ち上げていなかったので重量不明だったが、脚を解体して持ってみると、、、明らかに10kg前後はあった。
それだけで40kgじゃん。
内臓も10kgちょいといったところ。
それで50kg、胴体が10kg程度だとすると、合計60kgとなる。

デカかったじゃん!

一頭目から結構な大きさのイノシシだった。
ただ、残念なのはオスだったこと。

イノシシの一番の美味しさは、『脂』
やはりメスの方が脂のノリはいい。

それでも、まあまあ、いいでしょう。
一頭目の教訓を生かして、二頭目にチャレンジする。

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