うまいタマゴとニワトリ

20年間の東京生活で、こだわっていたものの一つが、うまいタマゴである。
売っている卵の中で、なんとか、うまい卵を見つけて買っていた。
大概、それなりの卵は、6個300円で、中には、6個500円というものもあった。
それらは、それなりにおいしい卵だった。

愛媛に来た時、うまい卵を探した。
東京という所は、全国から、うまいものが集結する場所なので、各地の様々なものが並んでいたが、愛媛では、地元のものにこだわりたかった。
東京にいて、新鮮なものを求めるのは、お門違いだが、愛媛にいて、愛媛産のものなら、鮮度にこだわってもいいだろう。

そんなわけで、東京とは違う、地元の卵を探して、いろんな卵を食べてみたが、スーパーなどで売っている卵でおいしいものは見つけられなかった。
しかし、しばらくしたのち、養鶏場が直売している場所を見つけ、そこの卵を買っていた。
ゲージでの大量飼育による卵だったが、餌に葉っぱを多く入れているものがあり、それなりに美味しかった。

しかし、いつもの山友が、ランチ用に持ってきた卵が絶品だった。
今まで、食べてきた中で、圧倒的NO.1の美味しさ。
まず、黄身と白身の盛り上がり方が、ドップリとしていて、黄身を箸で摘んでも割れなかった。

黄身を箸でつまんで持ち上げられるなんて、CM上の演出で、本当にそんなことができるとは思っていなかったのだが、食べようと思って箸でつまんでも崩れず、そのまま、持ち上がってしまったのには驚いた。
「本当に、世の中に、こんな卵があるんだ!?」と思った。

それからは、毎週、山友宅に配達される卵を増やしてもらい、うちに来る時に持ってきてもらうようにした。
「こんなにうまい卵を生産できているのだから、きっと、何か秘密があるに違いない」
そう思い、一度、養鶏場を尋ねてみたいとお願いしていて、先日、それが叶い行ってきた。

聞いてみると、やはり、餌がいい。
主食は、コメと米糠である。
それに、有機自家栽培野菜を発酵させたものを与えているとのこと。
さらに、一般的に使われているような薬などの類は、一切使用していない。
実際、人間よりも健康的な食事である。

さらには、養鶏というと、毎日卵を生ませるのは当たり前で、酷いところなどは、夜も煌々と明かりをつけ、一日二回生ませるなどという養鶏業者などもいるのだ。
その点、この養鶏場では、極力、生ませない努力をしていた。
たくさん生ませると効率は上がるが、その分、一個の卵に入る栄養素が減るし、にわとりも体力を消耗し、元気いっぱいの卵を産めなくなってしまうとのこと。
いろんな工夫をして、うまい卵を生産しているのである。

一般的な養鶏業者は、にわとりが二歳ほどで廃棄してしまうのだが、ここでは、三歳まで卵を生ませる。
ただ、残念ながら三歳を過ぎた鶏は、処分されてしまうのである。
そこで、そんな三歳越えの鶏を買い取って食べてみることにした。

僕は、ほとんど肉を食べない。
理由は、肉になる家畜の飼育方法や、餌が嫌だからである。

餌には、薬が入れられていて病気を予防している。
さらに、飼われる場所は、狭くて動けもしないような場所である。
どう考えても、健康的ではない。

そんな不健康な肉を食べたら、自分が不健康になりそうで嫌なのだ。
特に、鶏肉は、ブロイラーとして、無理やり大きくさせられて、あっという間に殺されて肉にされる。
そんな鶏肉など食べたいとは思わない。

しかし、平地で飼われていて、自由に動き回り、餌は人間が食べるもの以上のものを食べて生きてきた鶏なら話は別である。
どうせ、処分されてしまう命なら、ぜひ頂きたいのだ。

ってことで、とりあえず三羽もらってきて、ヤギと一緒に入れておいた。
すでに三歳なので、ブロイラーよりも遥かに硬いらしいので、じっくり煮込むカレーかスープで味わってみようと思う。
食レポは、また今度。

-ANIMAL:動物, COOK:料理, MARK'S LIFE:日常