グニャリと潰れてしまう牛乳パック

牛乳パックと豆腐のパックから見る、インフレの波

最近、いつもの牛乳に変化があった。
お値段は普通のやや高め程度でありながら、なかなか美味しい。

現在は、牛乳の価格もかなり上がっている。
この牛乳も、以前よりも30円、10%ほど値上がりした。
最近では、値上げはごく普通のことになり、値段が上がっていたとしてもあまり気にしなくなっている。

こうして、値上げラッシュが行われる中でも「値上げを行わない」と頑張る企業やお店もある。
企業努力などといって自分たちの行いを美化するが、実際には、ちゃんと利益の出る商品のみを薄利多売で売り捌いているに過ぎない。
それでなければ、単なる自殺行為である。

実際、インフレが進もうとしている時に、デフレ的な値下げや価格据え置きをすることは、この国をますます貧しくする。
インフレ時は、インフレ時らしく値を上げて、利益が出たら給料を上げ、社会に対してお金をたくさん循環させる努力が必要なのだ。
消費税というのは、そのための、上乗せに過ぎない。

消費税というのは、消費者からすれば税金のように思える。
そのため『預かり金』と思われている。
消費者から10%分を預かって、それを国庫に収める、と。

しかし、国税庁も言っているように、消費税というのは『売上税』と言って、消費者から預かっているわけではなく、売上に対して10%加算されているに過ぎない。
要するに、国主導の単なる値上げである。
その値上げ分を国にスルーで収めるのではなく、経費で支払った消費税分を差し引いて、余ったら国に納めるのである。

昨今、世間をざわつかせたインボイス制度は、売り上げの低い会社や個人は、この10%をそのまま懐に入れて良いとされていたものを、一般的な企業を同じように計算して、余った分は国に納めるようになっただけ。
これを、さも、自営業者の首を締め付ける政策のように触れ回る人々は、内容がわかっていないのか?それとも、裏の意図があるのか?とても不思議。

1000万円の売り上げがあったとして、100万円の消費税を納めなければならないような印象操作をしているが、実際には、経費の消費税分を差し引いた額であるから、いいとこ年間10万円とかそのくらいである。
年、10万円が懐から消えて、廃業に追い込まれるような会社や自営業者は、そもそも、やっていくのははなから難しいのではないだろうか?
単に、今までくすねることが出来ていた泡銭を、取られることに駄々を捏ねているとしか見えないのだが。

それはさておき、牛乳の話。
値上げはされたが、たぶん、10%値上げしただけでは、きっと追いついていないのではないかと思う。
世間の商売人、企業の皆様は、原材料や燃料費の爆上がりに対して、値上げしている額が少なすぎるのではないかと思う。

ただ、一気に上げすぎると売れなくなってしまうのではないか?という懸念が渦巻く。
だから、消費者が許せる程度の金額、消費者が気づかない程度の金額を上げていく。
その値上げ幅を考えるのも一苦労だろう。

どうも、300円の壁的な部分があるように思える。
200円台なら、まだ『普通の価格』に収まることができるが、300円台になると、今はまだ高級牛乳の部類に入ってしまう。
他の牛乳を見てみると、最近は、1リットルから900mmLに減っているものもある。

そうして各社、消費者が離れないように、気が付かないように、微々たる値上げやステルス値上げ的なことを行なっているが、それでも、間に合わないように思える。
そこで、次の一手が、パッケージのコストダウンである。

ある日、いつものように牛乳のパックを空けて、カップに注ごうとしたら、、、

グニャ!

パックの縁を、いつもと同じように持ったにも関わらず、パックが潰れ、落としそうになった。
僕の持ち方が悪かったか?」と最初は思ったのだが、それ以降、他のパックについても、どう持ってもグニャ!っと潰れる。
ただ、ギリギリ落とさない程度の強度は保っている。
が、明らかに以前よりも、パックがヤワになっていることは明白だった。

「こんなところを削減しているのかぁ」
僕は、牛乳を落とさずにいられたので良かったのだが、これを、一度でも落としてしまったのなら、きっと、二度とこの会社の牛乳は買わないだろう。
一度落とせば、牛乳一本をロスするだけでなく、牛乳をぶちまけた後の処理の厄介度は計り知れない。
「だったら、30円でも50円でも値上げしてくれよー!パック元に戻せー!」と叫びたくなるだろう。
そして、現にヤワなパックに気が付かず、落としてしまった人はきっといる。

高齢者や子供など、力加減を瞬時にコントロールできなかった人。
子供など、その子の責任ではないのに、きっと、親に「何やってんのっ!!」と怒られた子も、きっといる。
高齢のお年寄りも、その人の責任ではないのに、家族に「まったく、これだから年寄りは、、、」などと思われたに違いない。

ステルス値上げ、、、まさに【悪】と言わざるを得ない。

今までと、何も変わらないふりをして、わからないように値上げをするステルス値上げ。
なぜ、消費者に対して、率直に言わないのか?

『牛乳の品質を落とさずに、価格を抑えてご提供させていただくため
パックを薄くさせていただきました。注ぐ際は、ご注意ください』

と、なぜ、表示しないのか?
こうした行為は、消費者を「バカだと思っている」からに他ならない。
最も、その通りでもあるかもしれない。
理解せず「ふざけんな!」と企業に無理強いする人たちもいるかもしれない。

でも、僕は、最終的には、消費者を信じる企業が生き残っていくように思う。
今の時代、ステルス値上げを繰り返しても、いつかはどん詰まりになるように思う。

パックが安物になったのは、牛乳だけではない。
いつも買っている豆腐も同じだった。

今の政治も「国民はバカ」という前提に基づいているように思える。
昔から政治家というのは、国民をバカにしている。
バカには、まともなことを言っても意味がないと思っているし、不祥事があってもすぐに忘れると思っている。

最近の裏金問題もそう。
これ、民間企業がやったのなら、脱税で逮捕レベル。
運が悪ければ、刑務所行きの案件なのに、政治家は平気な顔をして適当なことを言っている。
仕舞いには怒り出して、記者に対して「バカ」呼ばわりするような議員も。

世の中、上級国民とそれ以外に分かれているのは、周知の事実ではあるが、それでも、国民や消費者をバカにするようなやり方だけは、やめてほしいと切に願うものである。


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