昨日、友人のピアノ発表会の司会を頼まれ、午前中に出発。
帰ってきたのは、20時頃。

真っ暗な中、車を車庫に入れ、野外キッチンの屋根の下に差し掛かると、なにやら物が散乱していた。
よくよく見ると、あちらこちらに、強盗にあったかのような荒れた形跡が、、、

ヤギである

ヘッドランプを持ってきて、明かりで照らしてみると、さんざんっぱら荒らした跡が明確にわかる。
棚にあったもの、テーブルの上、いろんな場所をひっくり返していた。
なぜ、そんなことをやったのかといえば、もちろん

「うまいもん、隠してるやろ、オイ」

という理由である。

これは、実は、僕がイカンのである。
料理をする際に出た、キャベツの芯や外葉、バナナやみかんの皮など、ヤギにあげる用に置いておき、それらを持って、家から出てくるところをヤギたちに見られてしまっているのだ。
あげるのなら、入れ物入れて、ヤギ小屋まで持っていき、そこであげれば良いのだが、ここ最近、そうせずに、直接手に持って出ていって与えてしまっていたのだ。

ヤギたちは、家からいろんな『うまいもん』を持って出てきているのだから、家にうまいもんがぎょうさんあるに違いないと思っているのだ。
そこで、僕がいない隙に侵入して、うまいもん探しをしていたというわけなのである。

実際には、家の外には、玉ねぎや、ネギ、キャベツなどがダンボールに入れられており、それらは、すべて平らげられていた。
それだけでは、飽き足らず、棚の中やテーブルの上に至る、あらゆる場所を荒らしまくって、平らげ、お土産であるうんこを投下していた。

ヤギには、去年も今年も、冬野菜を全滅させられている。
かろうじて、夏は、周辺にうまい草がわんさと生えるため、夏野菜は無事なのだが、畑には、無理くり柵に体重をかけて、柵を倒し気味にして、駆け上がって畑の中にジャンプして侵入するのである。
これらを防ぐには、かなり強固な柱と柵を設置しなければ防げないのだ。

これは、イノシシや鹿、サルなどの害獣被害悩む人たちと同じ。
イノシシは突進するし、鹿はジャンプする、サルなどよじ登るため、正直なところ、もう、どうしようもないらしい。
さらに近年では、キョンとか、ネズミのデカイのとか、いろんな外来生物が繁殖して、農作物を荒らしているらしく、飼ってるヤギにやられるなど、まだ可愛いものなのだ。

うちでも、ビワ、スモモ、カキは、ハクビシンにより全滅している。
それを撃退するために、ボーガン（クロスボウ）を持っていたのだが、ボーガンによる殺人事件を機に、銃刀法違反に該当するようになり、警察に持って行った。

エスカレートする獣害に、対処する方法はない

銃も、弓も、ボーガンも、飛び道具は何もかもダメ。
そうなると、人間に対処する方法はない。
ただやられるか、コスト度外視で防御を徹底的に強化するか、生産をやめるかのどれかである。

これは、日本の防衛と一緒だ。
防衛一本槍で、頑張ろうとしていても、防衛するだけでは、攻撃能力を持つよりも何倍もコストがかかり、その割には成果は薄い。
それでも、防衛能力で、防衛できると思っている人々があまりに多い。

農業も、防衛するしか方法がないが、どんなに防衛だけをしても、防ぎ切ることは出来ないし、それでも、コストが利益を上回る。
国は、コストが増大すれば、国民からもぎ取れば良いと思っているだろうが、一市民では、もぎ取る場所はなく自腹である。

そうなると、もう、生産を止めるしか方法がない。
そして『買う』という手段に出る。
これも、防衛と同じで、とにかく、外国からいろんなものを買っている。
そのお金は、国民からむしりとれば良い。

一市民は、本来であれば、自分で生産できるものを、わざわざ、化学肥料や農薬だらけの農作物を買うことになる。
現状では、野菜や果物は安いし、外国からたんまりと輸入しているので、深刻な事態になってはいないが、いずれ困ることになるのは明白である。

害獣は、ある程度の駆除を進めているとはいえ、駆除よりも繁殖の方が圧倒的に早い。
そうなると、エサを求めて、どんどん里に降りてくる。
どんなに防御をしている畑でも、いずれは、突破されてしまうだろう。

そうなると、まずは、農作物の価格高騰から始まり、そのうち、生産農家が減少。
外国から買えるうちはまだマシだが、戦争が起こったりして輸入がストップ。
生産農家が全滅することはないだろうが、多大なコストをかけて、屋内生産、水耕栽培、IT化などの技術によって生産できる農家だけが、高い価格で売ることができるようになる。

SF映画のようになる日は、遠くない

SF映画などでよく出てくるのは『代替え食品』
今でも、大豆から肉を作ったりしているが、こうした物が多くなっていく。

屋内生産、水耕栽培などで作ることができる食品は限られ、どうしても畑で作らなければならない野菜や果物、さらに、コストが見合わないものは生産されなくなっていく。
そうなると、例えば、作りやすく、加工も容易なものを大量に生産し、それを元に、代替え食品を製造していくというようなことが行われていく。

未来には、まともな食品はなく、見た目は違うが中身は同じ単一種の食品と、合成ビタミンなどで生きるようになる。
まあ、今でも、見た目は違う野菜だが、結局は、同じ、化学合成肥料によって作られた食品を食べているのだから大差はないが、、、。
ビタミン剤が必要な理由がよくわかるだろう。

ヤギが忘れるまで耐えるしかない、、、

ヤギは、物忘れが早い。
今回のように、家の方にはうまいもんがあるということをしばらくは覚えているが、そのうち忘れる。
それまで、僕自身が気をつけていなければならない。
こればっかりは、防戦一方である。