東京に住んでいた頃、周辺には、高級スーパーがあり、そこに行くと、高級卵が売っていた。
その当時、1パック6個入り500円というのが、最高値だった。
そんな高級卵を好んで食べていたのだが、愛媛に来てからは、スーパーに行っても高級卵は見かけなかった。
スーパー以外に、おいしい卵を見つける手段がわからずにいたある日、通ったことのない道を車で走っていると「うみたて卵 直売」という看板が目に入った。
養鶏場だった。
いくつか種類がある中で、最も高いものでも8個程度入って300円。
買って食べてみると、これは、なかなかよかった。
しばらくは、その養鶏場の直売で買っていたのだが、2年ほど前、いつもの山友が持ってきた卵が衝撃だった。
割ってみると、白身の盛りが凄い。
そして黄身の色は、レモン色。
食べてみると、これまた濃厚。
今まで、食べたこのないほどの美味しさだった。
この美味しさの秘密を探るべく、養鶏場に行かせてもらった。
そこで、卵の生産を行っているのは、坂根さんという年配の男性が一人。
養鶏を始めてから、50年だそうだ。
おいしい卵の秘密は、ざっくり言って二つ。
・こだわりのエサ
・毎日卵を産ませない
こだわりのエサ
一般的なエサの中身は、主に、輸入トウモロコシで、そこに、色々と加えて、さらに、病気を抑えるための薬も混ぜる。
輸入トウモロコシは、昔騒がれたポストハーベスト問題も気になるところ。
人が食べるためのものは、管理されいるだろうが、飼料用はどうなのか?
さらに、薬というのは、病気になってから投与するのではなく、健康なニワトリたちにも、予防のために抗生物質などを投与しているため、ニワトリたちはどんどん弱くなってしまう。
そのため、卵の生命力も下がってしまうのは当然なのかもしれないのだ。
坂根さんのエサのメインは、米糠と米。
純国産である。
そこに、大豆カス、魚粉、蠣殻などを混ぜる。
さらに、鶏糞で育てた野菜たちも。
それによって、健康で元気なニワトリたちが育っている。
毎日、卵を産ませない
一般的な養鶏場というのは、毎日卵を産ませる。
ニワトリというのは、一生涯で産む卵の数が決まっているらしく、毎日卵を産み続けると1年で産み尽くす。
その後、産業廃棄物として処理されてしまう。
卵を産むという行為は、子供を産むのと同じなので、非常に体力がいるし、当然、卵を体内で生産するのにも、結構なエネルギーが使われているのだと思う。
それを毎日繰り返せば、ニワトリたちにも疲労が溜まる。
そこで、毎日、ニワトリに卵を生ませないようにして、三年間かけて、ゆっくりと卵を生んでもらうことにしている。
どうやって卵を生ませないようにしているかというと、『断食』である。
エサを与えなければ、卵が生産できないので、卵を生まない。
腹が減るということにはなるが、卵を生ませないことで体力を温存できるのである。
平飼いなのは当然
40平米ほどの鶏舎の中に、100羽ほど。
全体を見回すと、結構、スペースは大きい。
平飼い養鶏を行っている養鶏場の中には、平飼いなのにキツキツにニワトリを入れてしまっているところもあるらしいのだが、坂根さんのところは、2/3に空間があるほど。
ニワトリたちも走り回れるほどのスペースになっている。
鶏の飼い方として、ゲージ飼いと平飼いが主だが、放し飼いというのもある。
僕は、以前、この坂根さんのところから三年経過したニワトリをもらってきて、ヤギたちと共に飼っていたことがある。
その際、ニワトリを放し飼いにしていた。
放し飼いにしてやると、平飼いよりもさらに、ニワトリたちは元気に走り回る。
そして、地面を懸命につついて、エサを探し始める。
結構、オモロイ
ただ問題が発生。
最初は、小屋の周辺をウロウロとしていたニワトリたちだったが、そのうち遠出をするように。
そして、犬小屋を発見。
なんと、犬小屋の中で、ドックフードを食べていた、、、!
ドックフードを食べている鶏の卵なんて食えたものではない。
もちろん、ドックフードで作られた鶏の肉も、いただけない。
ってことで、ニワトリの放し飼いは終了した。
実際、売り物として放し飼いをやると、ニワトリが食べるものを気にするだけでなく、野鳥や様々な自然界からの菌やウイルスにも対応せねばならず、逆に卵の質に影響が出てしまうのだ。
そこで薬を使えば本末転倒なので、結局、売り物の場合は、鶏舎の中での平飼いがベストなのかもしれない。
買えるのは、松山の自然食品の店「フラット」さん
この坂根さんの卵、おいそれと買えない。
頑固で売ってくれないのではなく、生産量が少ないために、既存客の定期購入でほぼ完売してしまうのである。
ただ、一箇所、松山市の自然食品の店「フラット」さんで購入できる。
フラットさんでも、すぐに完売してしまうようなのだが、坂根さん曰く、「これ以上、売る量を増やせない」とのこと。
後継者募集中
売る量を増やせないのは、一人での限界があるからだ。
従業員を入れるという選択肢も考えられるが、現状の生産量で得られる利益では難しい。
坂根さんも、もう年齢的に、新しいことに取り組むのは難しいようで「後継者がいれば、、、」と言っていた。
そんなわけで、後継者募集中。
興味のある人は、コメント欄に記載してください。
一度、養鶏場へいきましょう。