航空業界の壊滅

一昨日は、終戦記念日であった。
終戦の日に「記念日」と付く理由はわからないが、やっぱり、戦争の終わりというものは、誰もが喜ぶべきことなのだろう。
きっと、戦争をしているときには、開戦の日が「開戦記念日」となるのだろうが、戦争が終われば、開戦の日を「記念日」としたいとは思わず、開戦の日が、悲劇の始まりとしか思えないだろう。

それはさておき、コロナ騒ぎが起きてから、一年半が経過しようとしている。
この間、世界を繋いでいた航空業界は、世界どころか、国内においても、人をつないでいく役割を奪われている。

昨年から、盆でも正月でも、ほとんど、人の移動がない。
多少なりとも回復傾向にあるのかと思っていたのだが、かなりのフライトが欠航になり、羽田や成田空港でさえ、混んでいるとは言い難い。
ましてや、地方空港など、飛行機の姿がほとんどない。

僕が、成田空港から松山空港へ降りたときには、他の飛行機は一機もない状態だった。
「おいおい、未だにこんな状態かよ!」
去年は、飛ばない飛行機が、滑走路にまでズラッと並んでいる映像が印象的だったが、徐々にコロナの正体がわかってきて、対策を取ればそれほどでも・・・という雰囲気にもなってきて、街に人も戻ってきつつあり、確かに感染者の増加や新種のデルタ株などの要因はあるが、少しは、飛行機を利用する人も増加しているものと思っていた。

だが、フライトの予定を見ても、予定の4/5程度は欠航になっている。
飛行機に乗っていても、乗車率は、めちゃめちゃ低いのもぱっと見でわかる。

当然、航空会社各社は、政府からの助成金を受け取っているだろうが、それでも、財政的には厳しいだろうし、本来の自分たちの仕事をまっとう出来ないジレンマもあると思う。
政府は、極力便数を減らすように要請していると思われる。
それによって、飛行機内が過密になっていることもある。

お盆初日の朝に、うちの奥さんが松山に来たが、その時の機内は、三列シートの真ん中を空席にされておらず、キャビンアテンドはソーシャルディスタンスを呼びかけながらも、客席は過密状態だったという。
この日の朝の便は、JALもANAもほとんどが欠航していて、お盆初日に飛ぶのは成田発のジェットスターが朝一になってしまっていたという状態だった。
それによって、松山に来る人たちの多くが、ジェットスターに乗ることになったと考えられる。
まったく、めちゃめちゃなフライトスケジュールだと言える。

そんな状況の航空業界だが、政府の助成金によって潰れることはないだろうが、暇が続くとクオリティーが落ちてくるのが心配である。
こんな状況下であっても、プロ意識を維持できる人がどの程度いるだろうか?
飛行機が、万が一落ちれば、たくさんの命が失われることになるし、怖くて乗れなくなる人も大量に出て、コロナが収束しても、航空業界復活の兆しが遠のいてしまうだろう。

バブル崩壊後の日本は、不良債権があふれていた。
あれから30年が経ち、あの頃の不良債権処理がうまくいっていたのか?ということが明らかになっている。
結果、この30年間は、デフレ不況が続き、日本は、世界の経済大国から脱落していったと言える。

GDPだけを見れば、世界第3位の地位を保っているが、国民一人当たりの所得を見ると、30年間変わらないどころか、下がっている。
世界を見ると、30年前と比べ、給与や物価は、確実に上昇しており、先進国としての基準値から見ると、日本は、他国と比べ0.7倍程度に落ちてしまった。

給与を見ると、日本の平均が450万円程度、アメリカは700万円弱、多くの先進国では、600万円程度が平均である。
平均なので、当然、圧倒的に多い人と、途上国並みに低い人がいるだろうが、それでも、国ごとの差は、平均値を見ればわかる。

GDPの額を見てみると、アメリカなどは、30年前と比べ1.5倍程度に増えているが、日本は、ほとんど変化がない。
世界第3位の地位は、4位以下の国が、単に追いついていないだけだとわかる。

投資家のジム・ロジャース氏の著書「危機の時代」を読むと、バブル崩壊後、政府は、潰れそうな企業を救済したことで、本来であれば、潰れるはずの企業を救い、それによって、新しい芽を育てることができなかったと書いている。
力の無い会社が潰れれば、新しいベンチャー企業が頭角を現し、市場により良い商品やサービスをもたらす。
その最高の機会を、日本政府が奪ってしまった。
それによって、日本の商品もサービスも向上する機会を失い、鳴かず飛ばずのデフレ不況が続いたということらしい。

今回のコロナで、世界中が、大不況に陥っている。
しかし、これは、新陳代謝を促すきっかけとなる。
日本政府は、30年前のバブル崩壊の失敗を、また繰り返すのか?
はたまた、今度は、新しい日本を構築できるのか?

航空業界は、どうなるのか?
昔のJALを思い出すと、本当に最悪な航空会社と社員たちだったが、破綻したことで良くなった。
現在では、正直なところジェットスターは、飛行機も良く無いし、スタッフも二流だ。
LCCなのだから、、、という理由では、いけないだろうと思う。
成田と結ぶ路線は必要だが、一度潰して、新しい航空会社になった方が良いとも思える。

航空業界だけでなく、どの業界でも、潰れていく会社はたくさん出てくる。
そんな中、潰れるべき会社が救済されるのか?はたまた、自然の流れで淘汰されていくのか?
リーマンショックや震災の比では無い、今回のコロナ。
一体、どうなっていくのだろう?

ただ、一つ言えることは、歴史は繰り返すということである。
どの歴史が、どう繰り返すのかはわからないが、未来へのヒントが、過去にあるということだけは確かである。

僕が実体験で経験した、リーマンショックと東日本大震災を思い出して、繰り返し起こるようなことを思い出そうとしている。
さらに、もっと遡って、バブル崩壊や1929年の世界大恐慌、スペイン風邪の頃のことなどを調べることで、未来が予測できる。

本当に、どうなっていくのだろう?この世界は。

-MARK'S BRAIN:思考, MARK'S LIFE:日常