三つ目の穴

僕の住む、小さな小屋に、三つ目の穴を開けた。
それは、

薪ストーブ用の吸気口

である。
一つ目は、薪ストーブ用の煙突用に空けた大きな穴。
二つ目は、先日やった、換気扇用の排気口。
そして、時を置かずして、三つ目の穴を空けた。

一つ目の穴を空けるのには、ずいぶんと躊躇し、時間がかかったが、二つ目、三つ目とやっていくと、構造がわかっているというのと、慣れてしまったということで、躊躇なく、穴をがっぽりと空けてしまうようになった。

家に穴を空けるというのは、勇気がいる。
賃貸アパートであれば、画鋲の穴一つでも躊躇するほどだ。

しかし、こうしたことは、構造さえわかってしまえば、大したことではないということがわかる。
賃貸アパートの画鋲の穴は、クロスを張り替えれば解決することから、数千円〜部屋全体を替えたとしても、数万円の出費で済む。
その下の石膏ボードに穴を開けたとしても、石膏ボードを替えればいいだけだ。

壁の中がどうなっているのかわからないから、難しいことだと考えてしまうが、そうした、ユーザーの無知を利用して、ぼったくる不動産業者や工務店も多いから、厄介である。
僕が、大阪で経験したのが、まさに、典型的な、ぼったくり工務店だった。

大阪スタジオの近くに、ワンルームマンションを借りていた。
住んでいたのは一年ほど、月の半分をそこで過ごしていた。

解約時に現れたのは、いかにも悪徳ズラした工務店の男。
見た瞬間に嫌な予感がしたが、その予感は的中。
「ここに傷がある」とか「ここに穴がある」とか、細かいところを指摘しながら、原状回復費用として出してきた見積もりは、敷金を大きく上回る額だった。

大きく上回るとはいえ、所詮、ワンルームなので、プラス五万円程度。
さっさと、大阪を切り上げたかったので、そのまま五万円を支払って終わりにしたが、完全に悪徳だった。

その反面、スタジオの方は、別の不動産業者と工務店だったが、こちらは、毎日業務で使用し、広さもワンルームの何倍もあったが、適正な原状回復費用であった。
大阪にいたときに感じたことは、大阪というところには、人情味溢れる優しく素晴らしい人たちが多い反面、悪徳なぼったくり連中もたくさんいたことだった。
それはそれで、面白い街だった。

それはさておき、三つ目の穴の話に戻る。
三つ目の穴を開けた場所は、二つの穴のように壁ではなく、床である。
床に穴を空ける際、気をつけるべきなのが、束(つか)や根太(ネダ)などの、太い木材に当たらないようにすることである。

これは、壁でももちろん同じことなのだが、壁の場合は、柱からの距離を計算すれば、ある程度は避けることができる。
もちろん、一般の洋風住宅の場合は、柱が壁の中に隠れてしまっているので、わかりにくいが、床の場合は、全面フラットに仕上げられているため、わかりにくいのだ。
もちろん、壁面から計算していけばいいんだけど・・・・

あと、床の場合は、壁と違って、フローリングや下地の厚みが厚いということもある。
とはいえ、厚みがあっても地道に開けていけば大丈夫。

そして、断熱材も壁とは違う。
壁の場合は、主にグラスウールを用いるが、床の場合は、発泡スチロールのような板が使われることが多い。
そのため、壁のように、ビニールが破れてしまうとか、ドリルに巻きつく心配はない。

ってことで、穴完成!
穴には、開閉できる吸気口用の蓋を取り付けた。

いままでは、入り口の扉下から空気が入ってきていたが、それだと、僕の座っている足元が冷えるのと、ストーブを併用している時は、ストーブの熱気が吸い込まれていくのと、扉と薪ストーブの間にある暖かな空気がすべて吸い込まれ、外に排出されていくのが、もったいなかった。

薪ストーブの吸気口のすぐ下に穴を開けたので、部屋の空気を吸い込まれることがなく、熱気のロスが最小限になった。
それによって、当然ながら、部屋の暖まり方も変わった。

薪ストーブの種類によっては、ダクトで直接吸気できるタイプもある。
それなら、室内の熱気のロスはゼロである。
新しく家を作ったら、もちろん、直吸気タイプにするのである。

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