祭りだ!

この辺りの地域は、毎年10月7日が祭りの日と決まっている。
日付が決まっているので、確率的に平日になることが多いと思うが、昨年、一昨年と休日だった。
一昨年は運動会の撮影、昨年は電気工事士の試験のため参加できなかったので、今年が初参加である。

浜松在住20数年、祭りに出たのは一度切り

地元浜松には「浜松まつり」がある。
昼間は、砂丘でケンカ凧、夜は市街地で煉りと神輿。
浜松人は、1年のうち362日大人しいのに、5月の連休3日間だけは、誰もがヤクザばりに怖いお兄さん&おじさんに変身する。

そんな盛大な祭りだが、参加したのは小学校低学年のころに一度だけ。
どうにも混み合うのが昔から苦手で、祭りに参加する気にはなれなかったのだ。

東京でも祭り嫌い

25歳で東京へ上京したが、東京の祭りも好きにはなれなかった。
どこに行っても激混みで、身動きするのも大変なのだ。
そして、東京に住んでいると、祭りは “参加するもの” ではなく、“楽しませてもらいに行くもの” という感覚に変わっていた。
さらに、祭りにあるものといえば

『出店』以上!

という感覚になってしまっていた。

三社祭を思い出す

上京したての頃、東京での祭りに、参加したわけではないが、撮影練習のために三社祭に行った。
プロ用のカメラを買って、テスト撮影に何を撮ろうかと思っていた時、ちょうど三社祭の時期だった。

でかいカメラにプロ専用のストラップをつけ、でかいカメラバックを肩にかけて神輿の周りで撮影をしていた。
夕方になるにつれ、徐々に人が増えていき、すごい人の数になった時、祭りが始まるので、一般の人は神輿から離され、報道か許可された人だけが、囲われた枠の中に残ることができた。

普通にいけば、僕も一般人なので、枠の外へでなければならない。
だが、祭りの関係者が、一般の人を外に出していく過程で、僕は「OKね」という一言でスルーされた。
その時に、でかいカメラに、プロ専用ストラップ、でかいカメラバックの威力を知ったのだ。

今回は、はっぴの威力

今回、BOSSからはっぴを借りた。
部落ごとに、はっぴのデザインが違う。
僕のいる部落は「大谷」なので、背中にデカデカと「大谷」と書かれている。

はっぴを着たのは、小学校低学年の時に祭りに参加した際の背中に「祭」と書かれた青い定番のはっぴ以来だ。

幾つの部落が参加しているのか定かではないが、20程度だろうか?
はっぴを着ていると、なんだか、妙に

“この土地の人” になった気分になれた

もう2年も経ったといえば長い気もするが、それでも僕はよそ者だと思ってきたが、なんとなく受け入れてもらえている気がして嬉しい気分になる。
祭りには、そんな効果があるんだなぁとしみじみ実感した。

早朝4時40分集合!

前夜祭、BOSSの家に集合して、飲んで、食って、次の朝は、なんと4:40集合とのこと。正直言って、耳を疑った。
そんなに早く、なにすんの??

と、思ったのだが、なんと、祭りのスタートは5時。はえー!!
5時から、お宮さんで獅子舞。5:30には神輿が出てくる。
それから、部落内を回っていくのだが、前の部落から神輿を受け取り、次の部落へ渡していく。
田舎の景色の中を、みんなで神輿を担いで、家々を回るのだが、こうした祭りは、なんだか、とても大切なものに思えてきたのだ。

よく、田舎の祭りは神輿の担ぎ手がいないため、廃止になってしまうという話を聞くが、本当に、そうなってしまっていいのだろうか?
僕自身20年間都心に住んでいて、地域の行事など参加したことはないのだが、地域とか地元とかって、とっても大切なものだということを実感した。

東京から友人来た

実は、この日、ドンピシャで東京から友人が来ることになっていた。
「10月7日どう?」と聞かれた時は「祭りだから・・・」と断ることも出来たのだが、こうしたタイミングというのは、必ず重要な理由がそこにあるはずなのだ。なので、10月7日に来てもらうことにした。

午前の部落周りを終えて、友人を迎えに空港へ。
山でひと時を過ごした後に、夜の祭りへ一緒に繰り出した。

一応プロなんで

今回の祭りには、担ぎ手としてではなく、撮影者として参加した。
三社祭の時のように、枠の外に出なくてもいい、正式な撮影者である。
まあ、一応プロなんで、担ぐよりも、撮る方が断然役に立つことができるというものである。

けんか神輿

松山を中心とした、このあたりの地域は、10月7日が祭りの日と決まっており各地で祭りが行われている。
聞いた話によると、松山はやはり大きいので市街地を神輿が行き交うとのこと、けんか神輿をどこも行うようなのだが、新居浜は特に激しいとか。

でも、けが人はもとより、死者まで出てしまうような激しさらしく、近年では控えているとのことだった。
さて、僕の地域でも、けんか神輿がメイン。

けんかと言っても、ルール無用のけんかではなく、どちらかといえば、神輿のレスリングという感じ。
しっかりとルールがあって、その中で激しく戦うという印象だった。

決して大きくない神社の境内には、はっぴを着た面々と地元の人々。
観光客などはおらず、キツキツで動けないなどということはなく、僕が今まで嫌だった窮屈さは微塵もなかった。
友人たちも、この田舎の祭りの楽しさに、とても満足してくれたようだった。

長い一日が終わった

長かった。
朝5時前から始まり、終了は夜9時。
16時間の長丁場だった。
とても疲れたが、とても充実した一日だった。

またひとつ、この土地の良さを実感した。

今まで、祭りを心待ちにしている人々の気持ちなど、わかりようもなかったが、今回で、僕も、ほんの少し祭りが楽しみになったかもしれない。

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