紳士協定(1947年:アメリカ)

1947年というと、今から65年前。
終戦から2年後だ。

その頃のアメリカの状況の1つが反映された映画だろう。
紳士協定とは、何か?
Wikipediaによると、
紳士協定(しんしきょうてい)とは、所謂不文律(暗黙の了解)の1つで、国家や団体、および個人間における取り決めのうち、公式の手続きによらず、互いに相手が履行することを信用して結ぶものをいう。
ということらしい。

この映画の中での紳士協定とは、
およそ紳士の協定は言い難い、「ユダヤ人を差別する」という暗黙の了解だ。

主人公のフィリップ・グリーン(グレゴリー・ペック)は、ユダヤ人ではないが、
ユダヤ人の振りをして、その体験に基づいて雑誌の連載を行う。
ユダヤ人だと言ったとたんに態度の変わる人達が多く、
あまりにも根が深いことが分かってくる。

もちろん、こうしたことは大事だが、
この映画の中では、もっと大切なことを訴えている。
それは、あからさまに差別や迫害をする人達ももちろんだが、、
それを見て見ぬ振りをしている人達に対してのことだ。

これを、映画の中では「善人の罪」と言っている。

いつでも、どこでも差別や迫害はある。
さらには、迷惑行為なども同じようなものだろう。

それに対し、差別をされていない人達の多くが、
心の中で差別を批判していながらも、
誰も具体的な行動を起こさない。
映画の中では、行動の大切さを訴えていると感じた。

フィリップの恋人のキャシー(ドロシー・マクガイヤ)は、
そうした行動を起こさなかった人物の一人で、
そのことが、フィリップとの溝を深めていった。

そのキャシーがいう。
「私はクリスチャンの白人でよかった。それは、良い家柄に生まれたことがよかったと思うことや、健康でいられることがよかったと思うことと同じだわ」と。
これを聞いたときには、それは一理あるなと思った。

身体障害者や精神薄弱者と言われる人達を、
目にしたときに、自分はそうではなくてよかった。
そう、感じることは誰にでもあるだろう。

だから、感じることは仕方ないことだと思う。
なかなか、無理矢理には変えられない。

ただ、やはり具体的に何かの行動を起こすのか?
と、問われると、なかなか起こさない。

僕は、20年ほど前に、
何度か精神薄弱者施設に足を運んだことがあるが、
正直、なにかを思考するとか、行動するとか、
そんな悠長なことを言っていられるレベルではなかった。
そこを、分かりやすく例えるなら、まさに戦場のようだった。

職員の女性と知り合いだったのだが、
彼女達と入居者との戦場だ。
といっても、決して押さえ込むとか言うことを聞かせるとかではないので、
その点は誤解しないで欲しい。

この映画を見て、僕自身も行動の大切さを学んだ。
「紳士協定」古い映画だが、非常にお薦めしたい一本となった。

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