オマケ、それは、心惹かれるモノ。
商品というものは、価値=価格となっているため、支払った代金と同等の価値であることを知っている上で代金を支払い、商品やサービスを受け取る。
その商品やサービスが、思っていたのと同じこともあれば、思っていた以上のこともあったり、思っていたよりも良くない時もある。
だが、おおよそ、想定の範囲内である。
しかし、オマケというものは違う。
オマケには代金を支払わないので、まずは期待値はゼロである。
さらに、オマケというものは、受けるべき商品やサービスの延長線上にない場合が多い。
例えば、無料でうどん一玉が二玉になっているとかいうものが、商品やサービスの延長線上にあるものだが、グリコのオマケやロッテのビックリマンチョコなどは、商品がお菓子で、オマケはおもちゃなので、その延長線上にはない。
この、商品やサービスの延長線上にはないオマケというものは、サプライズ的な要素があり、受け取る人に驚きと感動を与えてくれる。
グリコのおまけやビックリマンチョコのシールなどは、入っているものが分かっていても、その種類によって、嬉しさが違ってくる。
これを商品としてやってしまうと、価値をあまり感じられないものが入っていた時に「損した」という気持ちになってしまう。
しかし、オマケであれば、元々、そこに支払った代金はゼロなわけだから、残念なオマケであっても「損した」という気持ちにはならず「次回は、いいのが出るように」と祈るだけである。
僕は、昔から、この「オマケ」というものを重要視している。
ウェディング撮影でも、スタジオ撮影でも、必ずと言っていいほどオマケを付けてきた。
期待値がゼロなだけに、喜ばれることも多かった。
オマケというのは、なんでもいいわけではなく、元々、代金をもらわないわけなので、コストや手間は、ほとんどかけられないのが現実だ。
そのため、低コストで手間がかからず、それでいて、驚きと感動を与えることができるオマケを思い付けたら、実際に売る商品やサービスが、ごく一般的なものであっても、他社のものより必ず売れる。
実際、メインの商品やサービスというものは、どんなに頑張っても、圧倒的NO.1になるということはあまりなく、どんぐりの背比べ的な感じで、なんとか他社よりもいい商品やサービスを提供するというのが実情である。
しかし、オマケというのは、そうした差を、圧倒的なものにしてくれるアイテムなのである。
今回、この話題を書いたのは、ちょっと嬉しいオマケを頂いたからだ。
それは、カレヤン(Porsche911)を車検に出して、戻ってきた時にピッカピカに洗車がされていたこと。
大概の車屋さんが、車検に出せば洗車をしてくれるが、ピッカピカになって帰ってくるというのは、なかなか珍しい。
それでも、僕が愛媛に来てから、ポルシェセンターで一度、今回は、地元の車屋さんに出したのだが、これで二度目のピッカピカ洗車を頂いた。
東京で、ピッカピカに洗車をしてもらおうと思ったら、金額としては3,000円以上はする。
それが、車検時のオマケに思える。
実際、どこのクルマ屋さんでも車検の時は、車をピッカピカに洗車してくれるのかもしれないが、これが、車検以外の修理や点検でも、出すたびにピッカピカに洗車してくれたら最高だ。
車検の場合は、それなりの価格になるから洗車というサービスを付けているという考えであれば、それは、どこの車屋さんでも同じになってしまう。
しかし、安い修理や点検でも、洗車されて戻ってきたら、きっと、その会社のファンになってしまうだろう。
結局、高い買い物をしてくれるからオマケをつけるでは、当たり前だが、安くてもオマケをつけることで、合計してみれば、たっぷりの利益を与えてくれる、お客さんになっている。
人というのは、タダで受け取ると、その受け取ったものの価値以上に返したくなるものなのだ。
たとえ、そうは思わない人が多かったとしても、たっぷり返したい人がたっぷり返してくれるので心配することはない。
オマケには、すごい力があるのである。