公表していなかったが、しばらく前に、メスヤギのフーちゃんが死んだ。
原因は、小屋を抜け出し、保管してあったお米、タッパーに満タン約3kgをまるっと食べてしまったことにある。
米を3kgも食べるとどうなるか?
腹の中で発酵して、発熱し、アルコールとなって、肝臓の処理が追いつかなくなり、さらに、内臓が溶け始め死に至る。
人間が、米をたらふく食べても大丈夫だが、草食動物はダメらしいのだ。
食欲が落ち、衰弱していき、死んだ。
獣医によると、通常二週間ほどで死に至るとのことだが、フーちゃんは、一ヶ月半ほど頑張った。
あれからいく日も経っていないのに、今度は、オスヤギのオペラが腰麻痺(ようまひ)という、ヤギや羊がかかる病気になってしまった。
これは、寄生虫によって、神経がやられ、足腰が立たなくなってしまう病気である。
要するに、下半身付随になるのだ。
加計学園(岡山理科大学 獣医学教育病院)へ
正直、3歳でうちに来て、懐かなかったメスヤギのフーちゃんと比べ、オペラは、この山に僕が来て、最初の家族である。
そして、どんな時でも、オペラは、僕にとても懐いてくる。
だから、フーちゃんが体調が悪いという時と比べて、今回、オペラがよう麻痺になってしまったとわかった時の対処は違った。
すぐに、家畜衛生保健所に電話をして助けを求めた。
砥部町に獣医がおらず、今治の加計学園(岡山理科大学 獣医学教育病院)に連れていく必要があると言われたが、躊躇はなかった。
歩くことができなくなったオペラを車に乗せるのは一苦労だったが、なんとかバンに乗せ、今治まで約80km、一時間半の山道を連れて行った。
国民皆保険のある日本人の医療と比べ、動物には、皆保険はない。
当然、任意保険など入っていないので、要するに、実費である。
そのため、結構な金額がかかるのは覚悟の上であった。
オペラには、いくらでもお金も時間も労力もかけてやりたい。
そんな思いがある。
診断結果は、予想通り、寄生虫によるよう麻痺である。
すでに手遅れかもしれないのだが、寄生虫を駆除する薬を処方してもらった。
ネット情報によれば、一回の投薬で症状が改善されなければ、永久に症状の改善は見込めないとのこと。
なんとか、歩けるようになってほしいという思いで、これから数日を過ごす。
一歳半のセント
残るは、一歳半になるセントである。
セントに、よう麻痺の症状は出てはいないが、寄生虫が入っていることは考えられる。
なので、もらってきた駆虫薬を、セントにも投与しておく。
少し前、セントは発情しており、オペラとベッタリだったので、たぶん、順調にいけば、冬真っ盛りの1月〜2月に子供を産む。
ただ、もしも、その前に、オペラと同じようによう麻痺の症状が出てしまったとしたら、セントも小ヤギも自然には生きられない。
そうなれば、僕は、出来る限りのことをして、小ヤギを育てるつもりでいるが、親と同じように出来るのだろうか?
翌日、オペラ、回復の兆し
駆虫薬を投与して、翌日の午後。
昨日までよりも、回復している様子だった。
昨日、一昨日は、まったく立てない状態で、這って移動するのがやっとだったオペラだが、今日の午後には、なんとか立ち上がることができるようになっていた。
通常、よう麻痺は、回復することは皆無で、脊髄に寄生虫が入ってしまうと、駆虫薬でも駆除できない。
そのため、一生、半身不随状態になる。
しかし、オペラの生命力は凄まじい。
今まで、どんな状況下でもへこたれず、何を食べても腹を壊さないで生きてきた。
それが、よう麻痺という、半身不随となる病気にかかるとは、とても残念に思っていた。
だが、そんな難病さえも、吹き飛ばす生命力を持っているのかもしれない。