僕が、ウェディングレッスンを行うときは、挙式・披露宴の3ヶ月前に1回、そして、1ヶ月前に1回の計2回行う。
3ヶ月前から具体的な挙式や披露宴の内容をやっても忘れてしまうので、具体的なことは1ヶ月前のレッスンで行うのだが、3ヶ月前のレッスンでは、日常の習慣にプラスしてもらう要素を教えていく。
内容としては、まず第一に、基本的な立ち方・座り方などの姿勢や歩き方など。
そして、足の組み方や身体の角度、身体の動かし方、手や指に至るまで、身体とはどんな構造になっているのかを把握しながら、より美しい振る舞いを身につけていく。
身体というのは、かなり素晴らしい機能を持っていて、基本設計は「さすが、神!」とも思えるような構造になっているために、身体の構造を知り、その通り無理なく動かすことが、結果として、最も美しく見えるように出来ているんだ。
さらに、新郎には、西洋式のレディーファーストと言われる、女性への対応の仕方をマスターしてもらう。
ちなみに、神前式など、着物で行う場合は、日本式の振る舞い方を教えていく。
新郎は、王子として、新婦は姫としての品格を、3ヶ月で身につける。
3ヶ月前からやるというと、特に新郎は「なんだか大変そう」とか「面倒だ」と思う人も多いが、それは、結婚式や披露宴という舞台が、新郎にとって、単なる添え物的な役目しかないと感じてしまっているからだろう。
しかし、本来、新郎の役目というのは、非常に重要。
ただ、本来の新郎の役目は、介添えさんやキャプテンが代わりにやってくれてしまい、さらには、新郎最後の砦である、新婦のエスコートさえも、その時々で、式場スタッフによって誘導されて、エスコートなどをする機会を与えられない。
与えられるのは、写真撮影のポーズと、段差があるところでの、エスコート風の役目だけ。
これでは、新郎がやる気が出ないのも仕方がない。
しかし!
それは、式場のせいだけではなく、日本人が、中途半端に西洋文化を取り入れて、日本文化を継承してこなかった結果、どっちつかずのへたれ男になってしまったからに他ならない。
そこで、この結婚式・披露宴という、一大イベントをきっかけにして、人間としての基本を身につけ、西洋文化のレディーファーストを身につけ、日本男児の優しさと強さを身につけようということなのだ。
それを、たった3ヶ月で身につけるなどと言うのは、完全には無理だろうが、無駄と言うことは決してないし、結婚式が終わろうとも、身につけたこと、知り得たことを、その後の人生にも役立てて、磨いていくことは可能だ。
この、挙式までの、たった3ヶ月で、今までと同じ自分で望み、なにも得ず過ごしていくのか、または、その人生に、プラスの要素を加えて行くのか、その選択が、3ヶ月前に訪れる。
それも、姿勢とか歩き方、レディーファーストなど、きっと、それ以降の人生で、身につけるきっかけはないだろうから、この結婚式のという素晴らしいきっかけを逃さずに、がんばってみて欲しい。
「いや、オレはこのままでいい」と思う人もいるだろう。
それは、もちろん賛同する。しかし、違う言い方をすれば「いや、オレはこのまま以上の成長はしなくていい」と、言っているようなものでもある。
この結婚式・披露宴をきっかけにして身につけたことは、ほとんどの場面において、日常生活では何の役にも立たないかもしれない。だから、一生懸命トレーニングしたり、練習したり、それも、3ヶ月も前からやるだなんて冗談じゃないと思うかもしれない。
しかし、長い人生を歩んでいくなかで、きっと、一度や二度は、このときに身につけたことが、応用として活かされる場面があると、私は思っている。
その時は、今回の自分の結婚式や披露宴など、人生の大舞台であることも確信する。
だから、「このままのオレ」でしかない人生なのか、「このままのオレ+」になれるきっかけを掴むのか、この時にかかっているのだ。
このチャンスは、基本的に、人生で一度しかやってこない。
ぜひ、このチャンスをきっかけに、人生にプラス要素を加えると思って、人生の中の3ヶ月だけ取り組んでみてもらいたい。
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