さくら満開

以前の東京での自宅は、千代田区の新築分譲マンションだった。
こう書くと、とんでもない場所に住んでいたように感じる。
すごいセレブみたいだ。

とはいえ、小さなベランダのある1LDKだったけど。
その小さなベランダに、鉢植えの桜の木を置いていた。

都内には、公園がたくさんあり、いろんな場所に桜が植えられていた。
なので、桜を見る機会はふんだんにあった。
しかし、それにも増して人が多い。

花見など、場所取りで競い合う程である。
僕は、そう言うのは苦手なので、花見など行くことはなかったのだが、一箇所だけゆっくりと花見ができる場所があった。

千代田区の前に住んでいたのが、港区青山でその前が港区赤坂である、その頃、青山一丁目にオフィスがあったのだが、そのすぐ近くの公園がとても静かで気に入っていた。
住宅街でもなく、オフィス街でもない、近くには赤坂御所、青山墓地、少し離れて青山外苑などがあり、大きな公園などが点在する中の小さな公園だった。
この時期でも、花見に訪れる人はまばらだった、知る人ぞ知る公園だったのだ。

千代田区に引っ越しても、自転車で行ける距離ではあったが、もっとのんびりと花見を楽しむため、僕は、ベランダに桜の木を置いた。
小さな木だったが、春のなると花をつけた。
そうして、自分だけの桜を楽しんでいた。

今は、その何倍も大きな桜の木が目の前にある。
都会でこの状況であれば、とんでもなく贅沢な景色なのだろうが、この場所では、ごく自然なことに感じる。
自分のデスクから満開の桜が眺められるのだ。

そんな桜を眺めるのも、もう5回目である。

今日は、桜が満開ってことで、今年、小学校に入学する、いつもお世話になっているBOSSの娘っちの撮影に行ってきた。
小学校と、砥部で一番大きなゆとり公園での撮影。

もう久しく、まともな撮影をしていなかったので、自分の腕と感性に自信がなかったが、それでもやってみた。
もしも、これが、それなりの都市部にいたら断っていたかもしれない。
写真学科の学生や、安い業者の方がよく撮れると考えるからだ。

でも、この場所でよかった。
「他よりもマシだろう」と言う考えが後押しをした。

それに、普段から会っている子達だし、いつもとてもよく笑う。
今日の撮影は、僕自身、トークにキレもないし、ポーズの誘導もまったくダメだったが、それでも、モデルに助けられた。
そのおかげで、とても楽しい撮影ができた。

やっぱり撮影は楽しいし、写真というのは、動画と違った楽しさがある。
商売として、またやろうと言う考えは、今はないが、それでも、やはり、人を撮りたいと思った。

ゆとり公園の桜

-PHOTO:写真, PHOTO&VIDEO:写真とビデオ, WORK:撮影