霧に包まれている。湿度100%ってやつだ。90%まで目盛りのある、アナログ湿度計の針も振り切っている。 いつもは見える、下の街も、霧に遮られて一切見えない。こんな日は、 一人であることを強く実感する 孤独というのとは違うが、他の人々とは違う世界に生きているように思えるのだ。雲の上にいるとか、そんなふうではないのだが、何か、自分が集団から孤立した存在であるように思える。まあ、現実にそうなんだけど。 山に来た当初は、下の部落までの2kmの道のりが長く感じた。災害があり、道が寸断されてしまったら、陸の孤島になっ ...